第13話

「ごしゅじ……けがれ、る……」


「ぬけがけNo good~」


瑠璃都と由良を引き離すように二人は割り込んできた。


べしり、と容赦なく叩かれたその手はすぐに赤く染まっった。


瑠璃都の白い手にはそれが妙に目立って痛々しく見える。


「なんなの、お前ら。せっかく由良とお散歩デートの計画が」


瑠璃都は自分の手をさすりながら恨めしそうに二人を睨み付けた。


もちろんそんなことを気にする二人ではない。


普段から本業の人間に囲まれているのだから、その睨みでは勝てないだろう。



「瑠璃、赤くなってる」


由良が白い手を撫でてやれば、瑠璃都はぽっと顔を赤く染めた。


「由良……」


その視線は例えるなら恋する乙女そのもの。


由良の視線はその白い手から握られている物体へと移った。


「でも、それは捨ててきて」


いまだに手に握られている紐に目を向けて由良が言い切る。


「そんな……」


しょぼんと綺麗な顔に悲し気な表情を浮かべる瑠璃都だが、さすがにそれは譲れない。


ぺたりと垂れた耳と尻尾が見えてしまったとしても譲れない。



いつの間に装着したのか、その紐の先は瑠璃都の首に伸びていた。


その先には首輪。


「どこで見つけてきたの、それ」


「どこにでも売ってますよ?」


にっこりと微笑まれては何も言えない。



「ボッシュー」


「め……」


瑠璃都の意識が由良に向いているうちに、睦月と諌那がその首輪を取り上げて、リードごと道端のごみ箱に放り投げた。


「あ……」


またしょぼん、と垂れる耳が見えた。



(……仕方ないな)


はあ、と呆れたように息を吐いて、由良は瑠璃都に手を差し出した。


「はい。手、繋げばはぐれないでしょ」


「……いいんですか?」


「ん」


由良が頷けば瑠璃都の顔がぱあっと明るくなる。


まるで子供のような反応に由良も微笑みかける。



「ごしゅじっ……おれ、もっ!!」


「瑠璃ばっかずりぃよー」


もちろん残り二人が黙ってるはずもなく、すぐさまブーイングが飛ぶ。



由良は瑠璃都と手を繋ぎながら苦笑して見せた。


「順番ね」


主人に従順な番犬だ。


もちろん由良に言われれば逆らうことは無い。


二人も嬉しそうに頷いた。

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