第8話
直射日光を浴びないように日陰を選んで歩く二人。
顔立ちの整った二人はどうにも目立ってしまうようで、嵐神倉庫からそう離れていない場所で見知らぬ男たちに囲まれた。
「……ゆき」
「………」
隣から明らかに機嫌の悪そうな雰囲気を感じ取って、由良ははあ、とため息をついた。
「おい、てめぇら嵐神だな」
「狂犬と、そっちのは最近噂の王子様、ってやつか?」
王子様。
確実に聞えたその言葉に、由良は自分の格好をちらりと見た。
どうやら学校だけでなく、不良たちの間でまで噂になってしまったらしい。
これでは本当に有名人のようだ。
「……じゃま……」
隣からはグルルルという唸り声が聞えてきた。
これは幻聴なんかではなく確かに聞える音で、一体どこから出しているんだと言いたくなる。
「ごしゅじ…ひとり、じめ……だた……」
由良を独り占めして隣を歩けていたのに、それを邪魔されたからお怒りらしい。
むすっとした顔で、相手を睨み付けている。
諌那は今にも飛びかかっていきそうな勢いで由良からの制止だけで止まっているような状態だ。
「何か用?」
(できればどいて欲しいんだけど)
「幹部がいないって聞いたからさ~、今のうちに潰しちゃおっかなって」
どうやらどいてくれる気はないらしい。
その情報は朱理かルシフェルだろうか、と考えるがあまり意味はないだろう。
「ゆき、ほどほどに」
それは由良からの合図だった。
(暑苦しい)
いつもならば由良も動いているが、今日は一歩も動く気はなかった。
すでに限界だと言うのに、こんな太陽の下で喧嘩なんてできるはずもない。
(元気だね……)
もう喋るのもめんどくさくなって、由良は近くの電柱の陰にもたれかかった。
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