第7話

全員分となると……と考えながら食材を細く千切りにしていく。


このキッチンはシンクの左右にそれぞれコンロがついていて、由良は諌那たちと反対側のコンロにフライパンを置いて卵を割りいれた。


薄く焼いた卵を何枚も作ってまた細く切っていく。


由良の手元からはしばらくトトトという規則的なリズムが聞えていた。



由良が三皿ほど手にのせていけば、わらわらと嵐神メンバーたちが集まってきた。


「おっ、冷やし中華だぜ!冷やし中華はじめました~!」


「さっすが王子、わかってるぅ~」


「あいかわらず遊馬さん女子力たけぇー……」


「お前らとっとと運ぶぞっ」



由良の手に持たれている冷やし中華を見ながらそれぞれが感想を言いつつ、皿をとって回していく。


由良が何もせずとも最近では勝手に各自で用意するようになってしまった。



(なんか、慣れてきたね……)



馴染んでしまった、と思うほど彼らの動きは自然だ。


全員に行き渡ったようで、箸をもって一斉に食べ始める。



「滝、手伝いありがと」


後ろを振り返ってそう言えば、滝は「いえっ」と返事を返す。



じゃあ帰るね、とひらひらと手を振ってみればあちこちから別れの挨拶が聞えてきた。


「遊馬さんおつかれっすー」


「ごちですー」


「王子またな~」


「遊馬君今日のも美味しかったよ」




背中に声を聞きながら倉庫をでた由良は、瞬間眉をしかめた。


「………あつい」


今日何度目かのその言葉を発する。


太陽は真上から少しだけ傾いただけで、いまだにぎらぎらと輝いている。


日焼け止めを塗っていても焼けそうな直射日光。



目を細めて空を見上げた由良に、ふと急に翳がおちた。


よく見てみれば、それは後ろから覗き込んでいる諌那の顔だった。


「……ゆき?」


「おく……てく」


へにゃり、と笑う諌那を見てしまえば、由良は頷くしかなかった。



諌那の身長は高いし、可愛い見た目ではないのだが、由良にしてみれば子犬のようで。


今だって由良の隣を歩きながら尻尾をぶんぶんと振っている。


もちろん、実際には尻尾などないのだが。

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