熱
第2話
一人の少女が嵐神という暴走族と出会ったのは偶然だった。
なんて、あるわけがないのに。
「朱理には、なんでかはじめから嫌悪感なんて感じねぇんだよな」
無意識に女と言うだけで気持ち悪いと感じていた。
嫌いと言う感情がわいてきた。
それなのに、と瑠生がぽつりと口にした。
「運命なんだろ~?あのときの朱理に出逢ったのはよぉ~」
思い出すように藍がくくっと喉を鳴らした。
「たしかに朱理は普通ではないよね」
夏楓はそう言いながらも優し気な口調で。
「何それ~。それ、褒められてるの?」
むっとする朱理に幹部たちが笑った。
「褒め言葉だろ」
紅が珍しく口角をあげていて、秋陽は朱理の前に躍り出た。
「そうだぜ!朱理みてぇに俺たちと対等に関われる奴なんてほとんどいねぇもんな!」
「みんなが見えてないだけであたしだけじゃないと思うけどな~」
嵐神幹部は女嫌いが多い。
昔も今も。
そんな彼らは朱理にだけは安心感さえ覚えている。
それは一目惚れというものだったのかもしれない。
あの出会いは偶然で運命だったのだと、嵐神幹部である彼らは思っている。
街で襲われかけていた少女。
女嫌いではあるが、嵐神は正統派に近い。
犯罪行為を見逃してはいられない。
だから、彼らは近づいて、声をかけようとした。
伸びていく男の手をとめようとした。
「男を投げ飛ばすお嬢様なんて普通いねぇだろ」
瑠生が呆れたような声をだす。
その言葉通り、嵐神が助けに入る前に朱理が男を撃退してしまったのだ。
線の細く、か弱そうな少女。
しかもその身に纏っているのは、不良高校生でもわかるほどに有名な私立の女子校。
お嬢様ばかりが通うという噂だったはずなのだが、と目の前の状況に首を傾げるしかなかった。
「い、いるもんっ!みんな護身術とか習ってるんだからねっ!?」
必死に言い訳をするように誤魔化す朱理に笑みさえ浮かんでしまう。
朱理にも何か事情があるらしいということはわかってはいるが、それすら気にならないほどになった。
彼らもそれぞれ抱えるものがある。
嵐神の姫である朱理も何かを抱えている。
それならそれごと守ればいいだけだ、とすでに話はまとまっていた。
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