出会いの章

入学式

第2話

春、桜が散り始めた今日。

入学式と書かれた看板と初々しい様子の真新しい制服を着た少年少女たちをあちこちで見かける。

この東鬼(シノギ)高校も本日が入学式だ。


しかし入学式と言ってもこの高校はこのあたりでも有名な不良校。出席はしていてもまともに座っている人間はほとんどいない。

髪もカラフルという言葉が一番当てはまりそうなほど個性的。かろうじて制服を着用しているのが奇跡に思えてしまうほどだ。


金髪の女子生徒はこれでもかというほど制服を着崩していて、素顔の全くわからない濃い化粧を直しているし、銀髪の男子生徒は完全に熟睡中。隣の席の少年に髪を遊ばれているのにも気づいていないらしい。


一応形式的な入学式の真っ最中ではあるものの、話を聞いている人間などほぼいなかった。教師たちが壇上で話を続けているが、諦めているのか注意の声がかかることはない。


そんな中、榊 由良(サカキ ユラ)も話を聞き流しながら周りを見渡していた。

整列とは言えない生徒たちが好き勝手に座った列の横、教師がいる方向に目を向けた由良の視線はそこで止まる。

そこにいたのは一人の若い男の教員だ。

茶髪に着崩したスーツ。スタイルがいいからかだらしないというよりはオシャレさを漂わせているが、明らかにやる気がない様子で壁に寄りかかっている。


しばらくその様子を見ていると、男と目が合い男性教員が手を振ってきた。ニコりと笑顔付きだ。

一見不自然な行動ではあるが、この男、由良の昔からの知り合いだったりする。


由良はそんな男を数秒見つめてから、しかし手は振り返すことなく視線を外した。

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