第3話

入学式が終わりそれぞれの教室に行きついた生徒たちだが、もちろんここでも五月蝿さは変わらなかった。

大人しく教室まで歩いてきたことを褒めるべきなのかもしれない。

それぞれが好き勝手にやっている、といった感じだ。


「おーし、てめぇら黙れよ。俺の自己紹介だ。よぉく聞いとけ」


由良のクラスの教壇に立っているのは先ほどの若い男性教員だ。

顔はイケメンに分類されるだろう。女子生徒たちも男を見てざわついている。

ダンッと教卓に手をついて生徒を見渡す視線は力強い。


「俺はなぁ、御門 剣(ミカド ケン)だ。元気なのはいいがこの俺に迷惑をかける奴は容赦しねぇ。もちろん女でもな。とりあえず明日から学校来い。以上」


なんとも雑な挨拶だろうか。

気だるげに話すその姿は、教師という職業からかけ離れ過ぎている。


頬杖をつきながら由良はその姿をながめていた。


(ヤンキーがヤンキーを教えてどうするんだか)


しかしそのヤンキーに教師という職業を勧めてしまったのも自分なわけで。なんだかんだ天職だろうとは思いつつ、その道を勧めてしまったことを少しばかり後悔する。


由良がそんなことを考えているなどとは露知らず。それだけでクラスは解散した。


 先生かっこいいねぇー?

 彼女いんの~?

 ねぇねぇ、付き合っちゃおうよぉ~。


女子の甘い声にまとわりつかれている剣は、慣れているのか適当に振りほどき姿を消す。さすがにその後をしつこく追いかける生徒もいないようで、由良も静かに立ち上がった。


入学式。

始まりの日である。

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