そんなにうまくいかない。

橙こあら

そんなにうまくいかない。

 帰り道にコンビニへ寄った後、時間が気になってスマホを取り出した。画面を見ると、通知があったのでメールもチェックした。その内容は正直、今が何時なのかよりも知りたかったことだった。ずっと待っていた知らせであった。

 うわ、やっときた。

 どうなったんだろう。

 家に着くのが待てない。

 もう知りたい。

 確認しよう。

 こういうときに我慢ができないのが私。

 そして私の視界に入った


「不合格」


 この三文字であった。

 なぜだ。

 私の何が、いけなかった。

 どこが気に入らなかったというのだ。

 そこは教えてくれないのか。

 いや、それは教えていただきたい。

 知ることができれば改められるではないか。

 ああ、どうしてダメだった。

 私は良いとしか思えなかったのに。

 もう明るい未来しか見えなかったのに。

 こんな展開、予想していなかった。

 望んでなんかいなかった。

 せっかくコンビニで食べ物を買ったのに。

 食べるのが楽しみで幸せな気分だったのに。

 いや知ったこっちゃないよね、そちらの人は。

 でも私は悲しい。

 もう今から帰ってヤケ食いルートだろう。

 また同じ日常。

 変化のない人生。

 絶対に変えたかったのに。

 新しい自分に変わりたかったのに。

 そんなにうまくいかない。

 それでも前に進むしかない。

 とりあえず私は家に向かった。

 事故に遭わない程度に、速く。

 どうか、なるべく早く幸せになれますように。

 私を必要としてくれる人が現れますように。

 誰か私を選んでくれますように。

 お願いします。

 私、頑張りますので。

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