第6話 03:00~04:00

「大体の力は分かったよ、しかしな、これでどうやって…っ!」

足音がする。

カチャリと金属の音が響く。

全身鎧を着用した大男が、牢の前に居る。

「ほらよ、最後の晩餐だ」

牢に空いた隙間から食事の乗ったプレートを差し入れる。

カビの生えたパンに、具の無いスープだった。


「…ありがとよ。旦那」

「…ッハ!皮肉か?」

「いいや?こんな時にも飯を出してくれるのがありがたくってよ」

スープを啜る。

わずかに塩気と野菜の味がするだけで、ほぼ水のような味だった。

「あんま美味くねぇな!ホントによォ!!」

「ハァッハッハッハ!!!そんな風に作ってるからな!!!」

「ケッ!あんたの手料理が死ぬほど恋しいぜ!」

「わかるか?ウチの嫁には毎週料理してくれって言われてんだ!

…あんた何して此処に居るんだ?」

虚空を見る。


「さあな…何でも聖女らしい女をイジメたらしい…」

『違います…目上の方との接し方を教えたくらいで…』

「いじめ…?嫌がる女を犯したり、骨が折れる程の暴力を振るったり…?」

『してません!!廊下で注意した程度です!!』

「…してねぇよ…。けど”聖女イジメ罪”で俺ァ此処に居るんだ」

「ひでぇ話だ…。この収容所に入った奴は北のロンドベル刑務所に移送される。

生きて帰って来れた奴は居ない」

「(知ってるさ。どれだけ悲惨な目に遭うかは)」


「なぁアンタ」

「なんだ?脱獄させろってか?そいつはできない相談だぜ?」

「いや、タバコ持ってないか?一服吸いてぇ」


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