第7話 04:00~05:00

「ほらよ、一本。故郷の味だ」

「ありがとな、兄弟」

咥えたタバコを牢から伸ばす。

マッチの火が煙草に火を灯す。

「俺も吸うぜ…」

兜を外した大男が、タバコを咥える。

「あんた、黒人だったのか。」

「なんだ?肌が黒いと不都合でも?」

「いや。俺の知ってる話じゃあな、

辛い時、大変な時に黒人の相棒(サイドキック)が

助けに来てくれるんだ。あんたを見てそれを思い出したんだ。」

「…悪いな兄弟。脱獄の手助けはできねえ」

「解ってるさ、タバコをくれただけで、あんたは俺の天使さ」

「へっははは!…不思議だな…

あんたみたいな美人な令嬢とは一度もあったことは無いのに、

なんだか数年来の親友みたいな気分がするぜ…」

「俺もさ…ところであんたの名前は?」

「ビル・デューク…あんたは?」

「ジョン・マクレーン…しがない虜囚さ」

「女らしくない名前だな!ジョン!…あばよ兄弟」

「ああ…じゃあな…」

去っていく大男。

足元には灰と吸い殻が散らばる。


「なんとか脱出しねぇと…」

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