春を売る


私は今日も春を売る。何も満たされないで群がってくる文字たちにお金をもらう。そのお金で美味しいものを食べても、友だちと遊んでも何をしてるんだろうって悲しくなる。暗くて深い穴の中に心が落ちていく。幸せに成りたいわけでは無いけど気づかないうちに幸せに成っていたい。そんな私は自分から幸せを切り売りして不幸せになっている。陳腐なその陳列を止められないで、努力もしないで春を売る。ベランダにいると心地いい、いつでもここから落ちることができる。その手綱は私の薄くなった理性が握っている。熱く燃える夏は来ないまま冬になってまた春が来る。花を見せびらかすことは私の存在意義になっている。いつまでも私の春は終わらない。


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