3.襲撃(3)
ジャマタヴォルグの暴威に苦しめられてきた民たちは歓喜で沸き返った。
勇者さまの偉業を讃えるべく、都では大きな祝宴が催され、多くの人々が勇者さまの活躍を三日三晩に渡って
勇者さまを讃える雰囲気に満ち満ちた中、私は女皇にこう申し出た。
国を救ってくれた勇者さまと一緒に旅に出て、魔物に苦しめられている世の人々を救いたい。
旅の中にて世界を広く知り、『
母上である女皇は、許しを与えることを渋った。
皇女たる私を、危険な旅へと出すことを危うく思うのは当然のことだろう。
『
けれども、ジャマタヴォルグの暴威から人々を救ってくれた勇者一味に皇女たる私が加わることを民が熱狂的に賛同していたこともあり、最終的には不承不承ながらも認めてくれたのだった。
晴れて勇者さまと旅に出ることが決まった
旅に出る
今、勇者さまが愛用しておられる『邪滅の剣』は神代の昔から我が国に伝わっていたものだ。
賢者さまの杖も戦士さまの大剣もそうであり、皆が身に付けているような腕力や魔力、そして素早さを格段に高めるアクセサリ状の宝具にしてもそうなのだ。
私達が戦いの最中に『念話』を交すために用いているイヤリング状の宝具も、皇家に家宝として伝わって来たものだ。
その宝具には古代の術式が込められた蒼水晶が嵌められていて、その働きによって口を動かし言葉として出さずとも、相手の意識へと直接に『念話』として自分の考えを伝えることが出来る。
壁を隔てた場所であっても、様々な音が響く闘いの最中であっても、滞りなく『念話』を通じて考えを伝え合うことが出来るのだ。
強力な装備にて身を固め、それに加えて神官である私が加わったこともあって、勇者さま達のご活躍はより華々しく素晴らしいものとなりつつあり、行く先々で魔王軍の難敵を打ち破りつつあったのだ。
つい先日には人間と魔族の勢力圏の境にある敵側の砦にて、魔王軍の先鋒として周囲の国々を脅かしてきた狂将ガルゴスを、奴が率いる手勢もろとも討ち果たした。
それは、人間側にとって数十年ぶりとも言える大戦果であった。
勇者さまのご名声は、より一層高まりつつあったのだのだ。
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