第22話 強者と弱者

 冷や汗しか出ない、緊張で手が震える、鬼に取り囲まれ、絶望的なこの状況どうするか、、考えてもしょうがない、、強引でもやるしかねぇー。


「姫、少しばかり、俺の後ろに隠れてくれ!」

「しま無謀じゃ、わらわを置いて逃げろ」

「それはできねぇ、俺は師匠に誓ったんだ!もう

 誰も傷つけさせねぇ、だから俺を信じろ」

「だったら、見事この窮地を脱してみよ!」

「それでこそ、、姫だぜ!」

 姫の一言で気合が入る!さぁやってやりますかぁ鬼さんよ。


「何をごちゃごちゃ言っておる!殺せ!」

 鬼達が一斉に俺に向かってきた、、せめて物干し竿があれば、なんとかなったが、、少し心もとないが、この小刀に全てをかける。


「さぁーかかってこい!今日がおまえらの命日だ」

 師匠との修行で鍛えた脚力で鬼達との距離を一気に詰める、、まずは一鬼目、、二鬼目、、高速の剣さばきにて鬼の首を斬って斬って斬りまくる!


 一心不乱で目の前の鬼を狩る、、なんとか周りの鬼達を倒した。途中で何度もダメージをくらったが、なんとか、、まだ戦える。


「残りは、、お前だけだ刀コレクター!」

「いきがるなよ、、おぬし、、」

 弁慶の一撃をかわし、胸の急所にありったけの力で小刀で突きたてる。

「くらぇー、、」

「きかぬわ、弱き者!」

 弁慶の硬い皮膚に阻まれ、唯一の武器が粉々に砕けちまった。

「まいったなぁ、打つ手なしか、、」

 とっさに二歩三歩後退し、一度弁慶と距離をとる。


「どうする?これで、おしまいか?」

 危機的状況に動揺した俺は、完全に萎縮し呼吸もあらく動けずにいた。

「まったく、つまらん、興味も失せた、死ね!」

 弁慶がじわりじわりと近づいてくる。そして、上段から刀を振り下ろした時、、


「しま、、逃げて」


 寸前のところで、姫が俺をかばう形で弁慶の刀が姫の背中を斬りつける。とっさの反応で姫を抱きしめ、、後ろに転げ回ったのが幸いして、致命傷はさけたが、、姫の背中は血で染まっている。


「なんで、俺なんかを、、、、、、かばうんだよ!」

「しまには大切なモノをいっぱいもらった、、だから生きて、私は後悔なんてしていない、、」


 弱々しい声でそう言い終えると姫は意識を失った。


「情けないのう、、おなごに助けてもらうなど、、」


 その言葉で俺は完全にキレた、、全身の血が体中を駆け巡る。姫を安全な場所に寝かせ、俺は弁慶と再度対峙する。


「待っててくれよ、すぐ片付けるから」

「笑死!なにができる、、弱き者!」


 俺は目をつぶり、精神を極限まで統一する。今できる最大の可能性に、、、俺はもう迷わない揺るぎない決意で、この一撃に全てをかける。


続く



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