第21話 蝶々の銀細工

 武蔵坊弁慶との危機的状況を前に少し話が戻ります。姫(まゆ)視点で描かれるアンサーストリー。


――――――――


 私は一人、、少し落ち込んでいた、、次から次へ新たな問題ばかりが起きて、「しま」ばっかり辛い思いをしてるのが、、やるせない。


 何もできない私がもどかしい、、姫の体を借りて私が「まゆ」だって今だに言えていない、、「しま」を騙すみたいで、心のしこりが、どんどん大きくなっていく。


 島が軍議に行っている間、私は、そのコトばっかり考えてしまう。こんな私が嫌だと、、、


 しばらくして島が帰ってきた。気分転換に城下町に連れて行ってくれると言う!これって、、まさかのデートだよね!こっちにきてから二人でお出かけとか初めて!私のテンションは上々です!


 島と二人で歩くだけで、心が満たされていく。油断をすると自然と口角が上りニヤニヤを止めるのに大変、、、


 できる限り無表情を装い城下町を歩いていると、一つの露店に目が止まった。一目見た時から目が離せない、気になったのは、、銀細工のカンザシで、、蝶々をモチーフにしている。


 なんだが、寂しそうな蝶々の銀細工に、、私と重なって見えた、、


「姫!それほしいの?」

 はうっ、、、予想外の言葉にドキッとした。平静を装うのに必死だよ、、、

「ちと、、可愛いいと思ってな」

 気付かれないように、あえて愛想がないように答える。

「気にいったんだったら買おうか?」

「イケオジから軍資金を調達したから、遠慮しなくていいから」

 本当に「しま」って、、女心がわかるのか、わからないのか、、不思議な人。寂しそうな蝶々の銀細工が、あの時「しま」が私を見つけてくれたように、、なんだが、、うれしかった。


 胸が熱くなって、少しうるんだ瞳をしまに気づかれないように、、、できるだけ顔を見せないように、、うつむいて返事をする。


「そこまで言うなら、もらっておいても良いぞ」

 本当は凄くうれしいけど、そっけない態度をするのは心苦しい。でもね、もう少しだけ、あなたの隣にいさせて、、あなたの未来を、、私が変える、、その時まで、、


続く


 

 




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