【江戸編】恋愛スキル0のデブと麗しの君 2

　絶対ゆるせねぇ、、極限まで精神を集中して反撃の一手にかける。

「弱気者、、かかってこぬのなら、こちらから行くぞ！」

「……」無言で来たるべき一手に備え集中する。

　弁慶は両手で刀を構え、一直線に襲いかかってきた。その刹那、全神経を指に集中。油断して大振りになった、すきを突き、弁慶の眼球をえぐり取る。

「ぐぁぁぁぁぁ」

「どうした？弱者にやられる気分は？」

　固い皮膚で守られてるなら、そうでない箇所を攻めるべし、これが小次郎師匠の教えだ！

「許さんぞ、、この世の地獄を味あわせてやる」

「やれるものなら、やってみろ！！」

　とりあえず右目は潰した、後は相手の死角から心臓めがけて拳をねじ込むだけ。何度も何度も愚直に繰り返すだけのみ。

「はぁはぁはぁ」

　腕は鉛のように重たい、、度重なる激しい動きで呼吸が乱れ、気を抜けば一瞬で意識を持っていかれる。でもよ、ここで弱音を吐くにはいかねぇー。

「おらおら、、どうしたよ弁慶、動きが遅えぞ！」

　弁慶は怒りで完全に理性を失っている。動きは単調で避けやすいが、何度も拳を打ち続けた代償で、俺の拳は血まみれだ。

　恐らく骨も折れているだろう、だけどこれしか道がねぇ。愚直に進む強い信念が拳に伝わり、全身の霊力が一点集中、気づけば拳は鉄より硬く、鋼の一撃となっていた。

「これで、最後だ！」

　ありったけの力を込めて、鬼の心臓を鋼の拳で打ち抜く、、例えるなら修羅のこどく。

「勝ったぞ、、、」

　もう体は、ぼろぼろだ、立っているのも限界に近い。これでようやく帰れる。それより姫が心配だ。

「大丈夫か、、姫？」

「わらわは大丈夫じゃ、それより島の方が重症じゃないんかえ？」青白い顔で答える姫、、

「俺は大丈夫だ！さぁ帰ろう姫！」

「そうじゃな」

　姫を抱きかかえ帰ろうと瞬間、、とてつもない気配を感じた、、弁慶とは比べ者にならない妖気だ。辺り一帯の空気が凍りつく。

「姫、、帰れるのは、まだ先のようだ」

　気がつけば、そのただならぬ妖気の持ち主は、すぐそこにいた。端正な顔立ちで、見た目は普通の人のようだが、、威圧感が半端ない。

「人間風情が八本刀の一人、序列七位を倒すとは、お前名前を何と申す？」

「名前を教えてほしければ、そっちから名乗るのが筋じゃないんか？」

　俺は強がりで、言い返す、ここで相手に飲まれたら完全に負けだ。

「そうじゃな、、ワシは八本刀の一人、、序列三位」

「酒呑童子」

　鬼の眼光が鋭く突き刺さる、、酒呑童子って言ったらホンモノの鬼じゃねぇかぁ。

「俺は、、島左近、、」

「そうか、その名しかた覚えたぞ、次会う時はワシを楽しませてくれよ」

　そう言い残すとマジ鬼は弁慶を連れてどこかに消えていった。

続く