第14話 絶対に生きて帰る約束だ
姫は走っていた、、泥だらけになりながら、、ある人を探して、、一向にやまない雨が彼女の涙を打ち消すかのように降り注いでいた。
「しまぁー、、しまぁー」
遠くで、俺を呼ぶ声が聞こえる。そのかすかに聞き取れる声が気になって、その声の方に向かっていった。
「どうしたんだ!姫!傘もささずに…」
「島、あのね、、小次郎が大変なの…」
少し、しゃべり方が「まゆ」に似ていたのが気になったが一時でも魂が融合していたせいだろうと、、あんまり深く考えないようにした。
「それで何があったんだ姫??」
「小次郎が何者かに襲われているの」
一瞬、、俺は嫌な予感がした。いわゆる陰陽師、特有の危機察知能力が俺に危険だと伝えている。
「それで、私を逃がして…」
それから俺は姫に、ことの経緯を聞いた。敵の親玉は鬼ということ、、その親玉は宮本武蔵だと言うことを…そして俺は泣きじゃくる姫を抱きしめた。
体はとてつもなく冷たくて、、体は急いで走ったせいで、傷だらけだ、、小さい体で必死に走ったんだな…
「姫、、安全な所で俺の帰りを待ってくれるか?」
「だめだよ、、島、、危ないよ、、」
「師匠は俺に色んなことを教えてくれた」
「なにより、、弟子が師匠の窮地をじっと見てる
なんて俺にはできねぇ」
「でもでも…しまぁ…」
「俺は絶対に生きて帰る約束だ」
「わかった、、しまぁ、、私も行きたいけど、、
私がいたら邪魔になるから、、ここで待ってる」
「だから必ず生きて帰ってきて…」
「いざとなれば必殺の霊力があるから大丈夫!」
そして俺は師匠の元へ向かった。それでさっきの必殺の霊力っていうのは、ただのやせ我慢。実はもう使えないんだ…「まゆ」を元の世界に戻す為に全ての霊力を使い果たした影響でうまく霊力がコントロールできない、、禁術を無理矢理使った副作用だと思う。
だから俺はこの世界で生きる力がほしかった、、たからこそ辛い修行にも耐えたし何より、これ以上、俺の大切な人を傷つけられないように守る力がほしかった。
20分ほど、、走っただろうか、向こうで硬い何かが鳴る音が聞こえる。
「追い詰めだぞ、小次郎!」
「はぁはぁはぁ」
「まだまだ、、まだこの右手が残っておる」
そこには、大勢の死体の山と師匠と鬼がいた。鬼は両手に刀をもっており、体はどす黒く口には大きなキバが生えていた。
そして、、師匠はというと、、震える右手には長い刀をもっており、左手は肩の関節が外れたようにだらんとしている。体中傷だらけで、立っているのがやっと、悲惨な体の師匠を見て俺は思わず叫んだ!
続く
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