第11話 素振りの鍛錬
熊との戦いから一ヶ月が過ぎ、、今日も俺は山を行ったりきたり、、1日2往復が当たり前、、いつになったら剣術を教えてくれるのか??ようやく山への道のりも慣れてきたある日、、やっと師匠から新しい指示がおりてきた。
「島殿!そろそろ次の特訓に移ろうでござる」
「待ってました!師匠!」
やっと稽古らしきことができると、、俺は期待で胸を膨らましていた。
「それで、、新しい稽古とは??」
「気になるか?島殿!」
「もちろんです」
「それはな、、、」
もったいぶらず早く教えてくれよ、、その手に持ってる木刀とかを使って「カキーン、、カキーン」って打ち合うような少し中二病心をくすぐる、、あれでしょ!
「では、教えてしんぜよう」
「この木刀で素振りをするのでござる」
「そんなの楽勝ですよ!師匠!」
やっと剣術を学べると思った島はテンションが上がっていた、、、それがどんなに過酷な物か知らずに島は簡単に考えていた。
「それでは手始めに10万回素振りをやるのじゃ」
「、、、もう1回聞いてもいいですか?」
「10万回じゃ」
にやにやしならがら師匠が追い打ちをかける。
「さきほど楽勝と言ってたではないか、島殿!」
「終わるまで、休暇はなしでござる」
むちゃだだだだだだだた、、、、軽弾みで自分で言ったことを後悔した。1秒1回でカウントすると1分で60回、、1時間で3600回、、ざっと27.7時間で終わる計算だ、無茶振りだよ師匠!!
それから俺は無心で素振りをした。1時間を過ぎた頃には手の皮が剥け、、木刀は血まみれになっていた。もう手の感覚はなく、腕は鉛のように重たい。
12時間が過ぎた頃には意識がもうろうになり、その場で俺は倒れこんだ。
「島殿よ、、人と同じことをしては、、一流にはな
れない、、それは三流だ」
「人の限界を超え自身に打ち勝つことが二流だ!」
「では一流とは何ぞや、、島殿??」
俺は倒れながら、師匠の問に答えた。
「師匠、この10万回の先に答えがあるのですか?」
「それは、ないでござる」
ないんかーい!
思わずツッコミを入れてしまった。
「島殿よ!一流とは…」
「唯一無二の存在でござる」
「誰よりも強く、その道の頂点に位置する人」
「それが一流たる所以である」
「これしきのこと、できなくて、守りたい人も
守れずぞ」
その言葉を聞いた瞬間、、頭に稲妻が走った。そうだ俺は大切な人を、、もう二度と傷ついてほしくない、大切な人を守れる力がほしい!挫けたらダメだ自分を奮い立たせろ、俺ならできる!
それから俺はふらふらになりながら、不眠不休でがむしゃらに木刀と語り合った、、5万回を超えたとこから、木刀が勝手に動く感覚さえ覚える。意識はこの木刀と一つになったさえ感じる。倒れては立ち上がりの繰り返しだ。
近くで心配そうに見つめる姫がいたが、俺は木刀に意識を集中した。もっと強くなりたい、、もう一度「まゆ」に逢う為に、、、
そして2日が過ぎた朝方、、ようやく俺は10万回の素振りをやり遂げ、、その達成感で気が抜けた瞬間、その場で意識を失った。
続く
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