そして5年が経ちました

 修行五年長かった、眷属心得、嘆願者の実力以上の願を無闇に叶えない、努力に応じた願を叶える、過度な願を叶えると色々な方向から代償が発生する、一人の願を叶える時、他の人の願が潰えることを理解しろ、実演を兼ねて覚えた、色々な人達の願を叶えた、破滅する人、堕落する人、訳も分からず代償が時間差で清算され不幸に成った人、願が叶った人の裏で泣く人色々見た、お兄ちゃんを待っている千年ほどの間仕事している時は先輩からどれぐらいの配分で叶えるのか聞いてたから過度な願を叶えた事が無かった、人にとって幸せは際限が無く一つ願が叶い幸せに成ってもその幸せが当たり前になってしまい願っていた時の心持ちを忘れてしまう幸せって難しいな、今回の修行は四神獣達も一緒にやった、修行とはいっても閉じ篭もって痛め付ける行ではなく学習みたいなものだったのでとても緩くて苦にならなかった、お兄ちゃんに会えない事が、一番苦になったけど、普段通り居候させて貰っている祟道神社に戻ってきた


「ごめんねみんな、私に付き合わせて」


「いえ、大変良い経験をさせて頂きました」


「有難う玄武、そう言って貰えると気が楽になるよ」


「ご主人様を待つ暇つぶしに成ったしね」


「こら、朱雀暇つぶしじゃないでしょ、ちゃんと学んだの?」


「むー、分かってるよ白虎だってあくびしまくってたじゃん」


「私は猫の習性がでただけよ」


「結果が出るまで遅いですからね、一つ一つ細かい事まで教えて頂き参考になりました」


「命、ご苦労さん」


 いつものごとく突然先輩が現れる


「あ、先輩何かありました?もしかして、また修行の追加ですか?」


「いや、そうじゃないよ、良い知らせだ」


「良い知らせ?もっ、もしかして!?」


「その通りお兄さんが明日祟道神社にご両親と一緒に来るよ」


「明日ですか!?急な話ですね」


「お兄さんが行くと言うのか微妙だったからね」


「そうなるとお兄ちゃんを出迎える準備がいりますね」


 先輩と話していると祟道明神の御用向きの時に出るいつもの門が目の前に出る


「先輩お知らせ有難う御座います」


「別に良いよー」


 先輩に挨拶を済ませ門を潜る


「稲荷大神眷属見習い命、祟道明神御用向きとあり馳せ参じました」


「久しいですね命、もう聞きましたね?」


「はい、先程」


「では約束通り神通力を必要になるだろう分より少し多めに渡しておきます」


「有難う御座います」


「神通力の扱いは不慣れでしょうから眷属の先人から聞くように、魂の扱いは特に慎重にしなさい失敗すれば龍雄が廃人、短命になると思いなさい」


「それは私も望まぬ事ですので、心して成し遂げてみせます」


「うむ、励みなさい」「それでは早速行って参ります」


 祟道明神から神通力と激励を頂き元の場所に戻ると先輩がまだいた


「おっ、戻ったね」


「先輩お待ちしていたのですか?」


「まあね、やるべき事は分かってたし、今回お兄さんを連れ出すのにどれだけ苦労したか四神獣達に話してたんだ」


「えっ、何だかお兄ちゃんがすみません」


 申し訳なくて頭を下げる


「苦労したみたいだよ、ついでに罰当たりな不信心な奴らの制裁の手伝いをしてもらうから負い目を感じる必要は無いよ」


「分かりました有難う御座います、先輩神通力の使い方の御教授をお願い致します」


「良いよ、こちらにお兄さんの魂の欠片があります、これを神通力で保護しながら溶かして伸ばす、ほら同じようにやって」


 先輩は溶かして伸ばしていた魂の欠片を元に戻して私に手渡す


「はっ、はい!」先輩がやっていた通りに何とかするお兄ちゃんの魂だと思うと緊張するな壊さないよう慎重に


「どうですか?」


「んー、良いよ良いよ、次はこの状態でお兄さんの魂に浸透させるのだけどこれが難しい、実際にやってみたいところだけど試せる魂なんて無いからね今から細々(こまごま)と教えるよ」


「はい、お願いします」


 実際に試せる訳ではないので理解するのに時間が掛かってしまった


「後の事はお兄さんの家の氏神様の神社にいる眷属達が教える事になってるからね」


「分かりました有難う御座います」


「そうだ、そっちの眷属達が頑張ってお兄さんを誘導したからちゃんとお礼をしておくように」


「はい、分かりました」

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