龍雄二十歳、その時命は

もう少しでお兄ちゃんが二十歳、そう先輩方がお兄ちゃんをこちらに誘導してくれる年!!遂に、遂に、遂に来た!もう毎日浮き足立っている


「命いるかい?って、ご機嫌だね」


「あっ、先輩!どうしたのですか?お兄ちゃんの事ですか?いつ頃に来ますか?」


「うっ、そこまで期待で満ちた目を向けられると言い辛いなー、まず命、落ち着いて聞いて欲しい」


「はっ、はい」


 ドキドキ(命)、ドキドキ(先輩)


「お兄さんを今年の内に連れて来れなくなったんだ」


「え?そんな……」


 突然言われた絶望に動転してしまい尻尾に施した封印が霧散してしまう、それと同時に膨大な力とお兄ちゃんを待ち続け寂しくて、落ち込んだ気持ち、関係の無い人間の兄妹を見て裏病うらやんだ憎悪が体に流れ込んで来る


「なっ、何で私待ったのに、頑張ってお兄ちゃんをずっとずっと……、そうだ、私から行けば良いんだ何だ簡単じゃん」


「はいっ粛清!!」


 パッチーン


「いったーい!何するんですか!?」


「ほら、落ち着きなさいって言ったでしょ」


「でもこんなに強く叩かなくてもいいじゃないですかー」


 そんな事を言っている命の尻尾は元に戻っていた


「あなたは無意識に尻尾の封印を解いてしまったのよ、金色九尾狐になりそうだったの、男を駄目にして不幸にする存在に、しかもあなたが一番気に掛けているお兄さんを対象にしようとしてたわよ」


「なっ、そんな私がお兄ちゃんを不幸にするわけないじゃないですか!」


「金色九尾狐は堕落させ男を駄目にするの!これに心当たりはない?」


「うっ、先程お兄ちゃんの望むことは何でも叶えて囲いたいと思いました」


「はー、今日の報告に来るの嫌だったのよ外れクジ引いたが為に、ふぅーーっ、神通力寄せ集めといて良かった、何とか止められたわ」


「あの、私どうなるのですか?」


 ビクビク、金色九尾狐は討伐対象、もし討伐封印されてはお兄ちゃんに会えない


「金色九尾になる前に何とか止めたから不問にします、こちらにも非があるからね、但し眷属としての心得をみっちり叩き込むから数年修行します!」


「え!そんなっ、もうすぐお兄ちゃんに会えるのに!!」


「さっきも言った通りお兄さん連れてこれないの、お兄さんが全然信じないタイプで、しかも、私達の誘導や洗脳が効かないのよ」


「え?先輩方でも駄目なのですか?」


「そうなのよ、ここまでの魂の強さは驚愕よ、あの世で修行でもしてたんじゃないかってぐらいよ」


「ではお兄ちゃんをこちらには誘導出来ないのでは?」


「搦め手で来させるわ、丁度ご両親はとても信心深いからね、そうねあと五年位必要ね」


「そんな、五年……」


「丁度命の修行にぴったりでしょ?」


「うーー、お兄ちゃーん!」

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