第12話 出会う
月島くんの家に上げてもらい、月島くんの部屋に案内された私は、言葉を失っていた。
「こんなの信じられないし、僕自身馬鹿げてるって思う。」
先に口を開いたのは月島くんだった。
「でも、初めて会った人にここまで世話を焼こうと思わないし、なぜか日高さんのことほっとけないって思う。」
他の人が聞いたらまるで告白の前置きみたいなセリフだ。
でも、違うことは私が一番よくわかっている。
「僕の母さんの名前“
私の心臓がドクンと音を立てる。
「それから、僕の名前は“
月島くんと私は顔を見合わせた。
「日高さんは“タイムスリップ”しちゃったかもって言ってたけど、多分違うと思う。」
月島くんがそこまで言って、私はようやく口を開いた。
「ここはもう一つの世界なんだ。」
私は自分でそう言いながら、まだ信じられなかった。
一年前ぐらいに読んだ本に、“パラレルワールド”について書かれていたことをふと思い出した。
ある世界から分岐した、それに並行して存在する別の世界。
分岐した世界は無数にあって、私たちの住む世界は、分岐した一つにすぎない。
別の時空でありながら、それらの世界はつながっているとも言われている。
中には知らないうちに別時空を行き来してしまうこともあるのだとか。
夢のようで、意外と身近にあるのがパラレルワールドなのです。
確か、そんなことが書かれていたように思う。
私は深呼吸をしてから、確かめないといけない本題と向き合う。
「月島くん、あなたは、この世界の“私”?」
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