第33話 生い立ち
まず、この事件の元凶であるイヌエット様
「こやつが欲しているのは、物や地位、まして金でもないな。ただ愛情が欲しいだけだろう。」
「どういう事、ケランド王弟殿下はイヌエット様だけを大事にしていたと聞いたけど。」
「多分こやつは、リズと違い両親に愛されて育っていない。ただの物として育てられたのだろう。可哀想な奴じゃ。」
「じゃぁどうすればいいの、彼女は救ってあげられないの?」
「イヤ、リズが行って抱きしめて彼女の心を癒してやれ。」
「え…!? 私でいいの?」
「クレイでも構わんが、それじゃとちと問題になりそうじゃ。ほれ、はよ行け。後はケランドの愛が有ればイヌエットは大丈夫じゃ。」
私はショコラの言う通りイヌエット様の傍に向かい何も言わず、お母様が強く抱きしめてくれた様に、イヌエット様を強く抱きしめ、彼女を癒した。
イヌエット様は始めビックリして、少しだけ抵抗し私の腕を振り払おうとしていたが、やがて私の腕の中で大粒のなみだを流し始め彼女の涙が止まり落ち着くまで私は彼女を離さず抱きしめていた。
やがてクレイが後ろから私の肩に手を当て、
「リズ、彼女はもう大丈夫だよ。次はケランド王弟殿下の腕に彼女を返そうか。」
と言ってくれ、彼女の隣にケランド様が立って居る事に気づき彼女から離れた。
その後ケランド様に抱きしめられた彼女は、
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
と何度も言いながら、泣きじゃくっていた。ケランド様は
「僕こそ、今迄気が付いてあげられなくてゴメン。」
と言いながらさらに強くイヌエット様を抱きしめ、額に口づけをされた。
これでイヌエットは大丈夫じゃ。もう何の画策もせんよ。とショコラが呟いた。
クレイもプリンもみんな、頷いていた。
次にイヌエット様の弟、レアーズ・バルロ様の所に向かった。
犯罪者と言うより従順な犬みたいな感じ、
「何か、ご主人様を無くした犬みたいな感じがする。ショコラはどう思う?」
「リズの言う通りよ、イヌエットには逆らえんただの小物だ、だが追い詰められたら、何をするか分らん所が有るから、発言権を無くし、子爵に格下げをするのがよかろう。出来れば王都から離し、小さな領地を与え、ギルマスが監視の目を光らせ、領地の管理でもさせたほうが、奴のためには良いかもしれんな。」
みんなも同意見だったようだがプリンは
「平民に落とし、金の有難みを分からせたほうが良いのではないのか?」
「イヌエットが王族から離れればそれも良かろうが、今はコレが最善じゃろう。」
とショコラが呟いていた。
ちょっと危ない人らしい、時々みんなに監視してもらおうと思った。
薬師親子を見た途端ショコラは
「奴等は平民に落とすのが最善じゃ。奴等は金の亡者よ、生きる苦労をさせねば目は覚めん。王都の無償病院など国が守る機関で働かせてはならんぞ。ロクなこと事は企まん。」
「そんなに悪い人達なの。」
「ああ、苦労して気づけばいいが、出来れば「死の森」か、ラスパルが五年間居た洞窟に、同じ期間の五年間放り込むのがいいかもしれん。それで変わらん時はリズが望まん処刑をするしか無かろう。」
「みんなも同意見?」
「我は、奴等は生かして置いてもロクなことにはならんと思っておる。がリズはそれを望まんのだろう?」
とプリンも聞いて来た。
「ハイ、出来れば処刑は避けたいと思って居ます。」
「ならばみんな、今度の「死の森」のダンジョン探索に連れて行くのはどうかぁ。」
とクレイが提案して来た。するとプリンがすかさず、
「足った三つ日位で分るモノか。」
「いやいや、ショコラやプリン達と一緒だよ、命の大事さが分からないはずないよ。ねえ冒険者のみなさん。それに、分からなければ、何度でも連れて行けばいいんじゃない。それと彼等だけじゃなく、こっちの暗殺者達も、だね。」
「クレイはこんな風に言っているけどみんな、それに冒険者さん達はどう思う。」
「「我等は構わんぞ。」」
「「「「「私達も構わない。命の大切さ十分分ると思います。」」」」」
と、みんな頷きながら冒険者達も答えてくれた。
「では、お父様三日後「死の森」のダンジョン探索に彼等五人を連れて行きますが、お許しを頂けますか?」
「構わんが、皆さんはそれでよろしいのでしょうか?」
「ああ、命の保証は出来んがせいぜい扱き使って参るとしよう。」
とショコラが独房中に聞こえるようにお父様に宣誓していた。
その後王宮を離れ、何時もの様に両方の開拓領に向かった。プリンに乗り上空から開拓途中の領地を眺め確認して思った、
「ねえクレイまだ開拓初めて、一か月位だよね。」
「そうだね。」
「思っていたんだけど、こんなに早く領地の整備は進む物なの?」
「イヤ、多分五倍位の速さで進んでいるね。それに畑も。多分ギルド休憩室に付けたリズのテント効果と、食料類に苗や種に肥料をテントに入れて運んだのも影響しているのかも?」
「そうだと良いな、本当だ、もう花が咲いている。」
「多分王都の瓦礫撤去が終わる頃には収穫時期になるかもね。」
「私達の屋敷の準備も早くしないと、グズグズしては居られないわね。」
「そうだね。」
上空からの確認が済んだ所で、プリンに町に降りて貰った。
ギルドを訪ね、食料を渡し三日間のダンジョン探索に向かう事を告げ不足しそうなもの等確認し王都のギルドに要望して貰えるように伝え、次の領地でも同じように三日間ダンジョン探索を告げ、同じように不足する物はギルドに要望しておいて貰えるようお願いし、ババロアとゼリーの事を両方のギルドにお願いして領地を離れた。
マシュマロとポッキーには王都の貧民街の解体作業中に貧民街の人達が迫害されないように、探索して貰えるか確認すると。大丈夫引き受けたとの返事を貰った。
ダンジョン探索の後迎えに来ると伝えたら一緒に行きたい。と言われたので連れて行くことにした。
次はドララド村とラード村に向かい同じように三日間ダンジョン探索を告げ不足しそうな魔物の数を確認した。
一端王都に帰ると各ギルドのギルマスを訪ね、両方の領土の進捗報告を終え、先程の王宮で決まった、罪人五人をダンジョン探索に連れて行くことを報告した。
それと魔物解体と素材買い取り料金の精算と報酬の支払いを完了させた。
その後、市場の何時ものおばちゃんと話ながら必要な物の購入と、開拓領土に持って行く調味料の注文をお願いした。
「今回も大量だね。」
「今回は少し足りないみたいナノ。明後日もう一度先程の分とは別で買えそう?」
「大丈夫だよ、王都の工事も始まりそうだから、何時もの三倍仕入れて置いた。明日届くから取って置いてやるよ。うちのお得意様だからね。」
「ありがとうございます。では明日の夕方来ますね。」
「待っているよ。何時もありがとうね。」
「それでは気兼ねなく「死の森」に狩りに行きましょうか?」
「「「おー」」」
プリンの乗って何時もの様に「死の森」目指して飛んで貰った。
「リズ今日は「死の森」の奥に向かうが良いか?」
「大丈夫よ。」
「では向かうぞ」
プリンが降り立った所は以前ボマルツドラゴンを見つけた所らしく、クレイの二倍位の狼の魔物ホースローウルフが大量に群れを作っていた、これならキングとクイーンが居そうだとショコラが呟いた。
「キングとクイーンが居るの?」
「そうだこんな感じで、千頭位の群れになると発生する。千頭の群れの頂点だ、強さは比べ物にならない。身体はこの倍位は有るぞ。プリンス、プリンセスになると次期キングとクイーンになるべく群れの一部を連れて独立する。」
「これみんな討伐するの?」
「ああ。ちょっとは運動になるかも知れんな。なあプリン。」
「ショコラよ、これぐらいでは、運動にもならんだろう。」
「クレイ、彼等は何を言っているんだろうね。」
「それだけ彼等が強いってことだよ。分かっているだろう。」
「そうだね。」
「グズグズ言っておらんで、クレイに冒険者達行くぞ。」
「ちょっと行ってくるね。」
とプリン、ショコラ、冒険者達にクレイそれにマシュマロとポッキーでどんどん討伐して行き、あんなに居たホースローウルフが今はショコラとクレイが対峙しているキングとクイーンしか残って居ない。
ショコラがキングの首元に噛みつき、クレイがクイーンの眉間に剣を振り下ろした所で討伐が終了した。
いつもの様に魔物をテントのなかにみんなで仕舞い込みながら辺りを見回した。
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