第30話 変わり行く王都


「所で王都の貧民街がとり壊される事は聞いたか?」

「イエ、そこまで話が進んでいたんですね。あとでお父様を訪ねて見ます。

それではみなさん住む所がなくなりますね。テントでよろしいでしょうか。」


「有難い、助かる。 本当は仮の施設を作りたかったのだが、まとまった場所の確保が難しく、バラバラに立てるのも難しく、宿屋の借り上げも検討されたが、冒険者から不満の声が上がってしまい八方塞がりになってしまっていたんだ。」

「分りました。どれ位必要ですか?」

「二百張位で足りると思うのだが?」

「ではひとまず、二百張出して様子を見ましょう。足りないときは又出しますね。

今から、お父様を訪ねて見ます。」


「分かった、リズ達の分の肉は出来ているから、受け取ってくれると助かる。」

「ありがとうございます。受取に伺います。」

「ありがとう。」

「では又明日伺います。」


 その後解体済みのお肉を受け取り、お父様の執務室を尋ねていた。

 何時もの様にバルコニーから中を伺い、ノックすると、執事のセイルが迎えてくれた。

 お父様はおつかれのようで執務室隣の私室でやすんでいるそうでセイルがお父様の様子を見に行こうとしていたので、私がお父様を尋ねる事にした。


「お父様、お部屋にお伺いしても宜しいでしょうか?」

 と部屋の外から声を掛けて見た。

「リズか、入っておいで。」

 といつもの優しい声が聞こえたので、お部屋に失礼して、

「お父様、このお部屋に私のテントと同じ回復機能を付けても宜しいでしょうか?」

「何、そんな事が出来るのか?」

「すいませんお父様のお部屋が後回しになってしまいました。」

「どう言う事だい?」実は、と、開拓領地やギルマスの話で各ギルドの休憩所にこの機能を付けて行った事を話した。


「国民のためによくやってくれた。と感謝してくれた。」

「自分が不甲斐なかったばかりに、国民に余計な負担を掛けている。」

 と、御自分を責めているとセイルか聞いた。


 その後この部屋と、この国の今後を話し合う防音部屋にも欲しいとお父様に希望されたので両方の部屋にテントと同じ回復機能を付けた。

 お父様のお顔の色がみるみる良くなり、執務室に場所を移し、先程ギルマスから聞いた話も含め今後の王都で予定されている計画を聞いて見た。

「今後王都で進めて行く計画は分りました。では私は、ギルマスとお話しながらお手伝いできることをしていきますが、宜しいでしょうか?」

「ああ、頼んだ。」


「それと、お父様ドララド村とラード村の新領主は決まったのでしょうか?」

「ドララド村の領主は、カスティル・セントラント公爵。ラード村の領主はデイル・スレンフォス公爵にようやく決まった所だ。」

「分りました。」

「所で、ミスリル鉱石の採掘作業はどうだ、出来そうか?」

「大丈夫です。こちらのご心配は不要かと思います。」

「そうか。頼んだぞ。」

「ハイ、又参ります。セイルお父様の事よろしくお願いします。」

 と、お願いし執務室を後にした。


 こんな日々が十日程過ぎた頃ミスリル鉱石の採掘作業に目途が立ってきた。

 気が付くとミスリル鉱石は姿を隠し洞窟内は岩ばかりになっていた。

 ギルマスに確認してもらい、採掘作業を終了した。

「アレだけの鉱石が有ったのに、こんなに早く作業終了するなんて?」

 とギルマスはビックリしていた。


「とにかく身体が軽く動くし、疲れなかったからどんどん作業が進むし、ショコラさんや冒険者さん達も一緒に採掘するし、なんと言っても、掘り出した鉱石を運ばなくて良かったのは楽だったよ。気が付いたら無くなっていたからな。なあみんな。」

「ああ鉱石を運んであっちこっちするのは楽じゃないからな。」

「それに、ご飯が美味かった。特にボマルツドラゴンの肉は俺らが一生掛かっても食べられない高級肉を食べさせて貰えた上、家族の分まで貰えて最高だった。母ちゃんが喜んでた。」


「「死の森」の仕事って言うから半分覚悟して来たけど、この仕事受けてよかったよ。」

「こんな仕事なら又呼んで貰えると確かる。」

「みなさん、お世話になりました。」

「では皆さん、これから王都に帰って報酬をギルドでお渡しします。」

 王都に帰り冒険者ギルドで作業者の方々は報酬を受け取っていた。

 

 私達はギルマスの部屋に向かい採掘場についての報告と採掘量の確認はどうするか等の話をした。が、ギルマスが国王夫妻と話して決めたいとの事で保留となった。

 その後職員の方が今回の採掘で発生した報酬を持ってギルマスの部屋に金貨二千枚を持って入って来た。

「今回の採掘作業報酬です。」

「作業員の方々の報酬はいくらだったのでしょうか?」

「一日金貨一枚の破格値にしていたのです。二週間位で終了しましたが、彼等にとっては超破格な仕事となったようです。」


「私達はこんなに頂いて宜しいのでしょうか?」

「当然です。」

「では、この中の金貨五百枚の半分二百五十枚ずつをリュウガとラスパルの取り分として下さい。」

「分りました。では此方をお渡しします。積み立金の確認は後日お願いします。」

「「「「分りました。ありがとうございます。」」」」


「では彼等には家に帰らせてもいいですか?」

「大丈夫です。」

「では皆さん明日王都の外で何時もの時間に集合お願いします。」

 と言ってギルマスの部屋で別れた。


 その後昨夜、お父様と話した事の擦り合わせをギルマスと行い、

「テントを二日後に貧民街から南端の空き地に出して欲しい。」

 と伝えられた。七日後から解体工事を開始するそうだ。。

「廃材は一旦王都の塀の外に出し貧民街の住人のみに廃材の処分と販売の許可を出します。これらは彼等の収入とし、この時得た報酬は自由に使って構わない。との御触れが出ます。」


「貧民街を更地にしたら、今両方の開拓領に出向いている最初に区画整理するために向かった。六十人の内三十人にこちらに帰って貰い、此方の区画整理終了後、王都に残った職人に建物の建設に着手して貰う予定をしている。」

「ねえ、クレイ、それなら、テントと王都の外塀を繋げ、解体した廃材を私とクレイと冒険者がテントに入れ、王都の外塀から残った冒険者達に取り出して貰ったらどうかしら。」


「それが出来れば、片付けは早く出来るだろうが、危なくない。」

「大丈夫だと思うけどどうだろう。」

「冒険者ギルドからも応援を勿論出す予定にしている。」

「それなら大丈夫そうだ。」


「では、決まりね。それとショコラにプリン、今少し気になったんだけど。」

「「何が気になったのだ。」」

「貧民街の人達に、廃材の整理をして頂くために、これをおかねに変えても構わない。と御触れが出るみたい、このお金を狙ってお肉渡しの時みたいに画策する輩が出ないとも限らないから、彼等を守って貰えないかなあ。」

「「分った気を付けておこう。」」

「それなら、その間だけでもマシュマロとポッキーが居た方がいいかもしれないよ。」

「そうだね、クレイありがとう。明日会った時お願いしてみる。」

「そうだな、奴等の観察眼は優れているからな。」

「分かった。みんなありがとう。」

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