第28話 新しい町に畑の開墾  


「そろそろワイバーンと従魔契約が出来るのではないか?」

 とショコラが言って来たが、

「いくらなんでもまだでしょう。」

「そうか?見せて見ろ。」

 テントからワイバーンの赤ちゃん?を出して来た。

「え!大きくなった⁈」


 暫くショコラがワイバーンを見ていたが、

「リズやクレイと従魔契約をするそうだ。どうする?」

「いいの?」

「契約してくれるのか?」

 ワイバーンがうなずいた。

「「ではお願いします。」」

 と二人で言ったら、ワイバーンが近づいて来て順番にクレイと私のおでこにワイバーンのおでこを付けて行ったそして契約の印が現れ消えた。

 早速彼等に、ババロア、ゼリー、クッキーと名前を付けた。飛べる?飛んでみてと伝えたら大きく羽ばたき順番に飛んで見せてくれた。

 感動で胸が一杯になってしまった。


「これで此処の警護は大丈夫だな。」

「みんな帰っておいで」

 暫く待つと三匹のワイバーンが目の前に降り立った。

 お父様達とセイルは二度めだが、マリにグラント卿やギルマス達はただ、あぜんと見守ってくれていた。

「では皆さん一端王都に帰りましょうか?」

「そうだなでは帰ろうか。」

「ねえババロア、ゼリー、クッキー。みんなプリンの様に小さくなれない?」

 と聞いて見た。なれた。アヒル位に小さくなれた。みんなこれからはこのように小さくなって居てね。


「クレイや私が大きくなって、って言った時だけ大きくなるんだよ。分かった?」

 と聞いたら頷いてくれた。いい子達で良かった。

 その後プリンに乗って王都に帰って来た。


          ◇ ~ ◇ ~ ◇ 


 その後私は、お父様の執務室を訪ねていた、

「お父様先程のミスリル鉱石を私のテントに仕舞い王都に運ぶ予定ですが、王宮の壁が私のテントの異空間と繋がったら、わざわざ危険を冒して運ばなくて良くなると思うのですが、如何でしょうか?」

「と言う事は、宝物庫に入れなくていいと言う事か」

「そうです。ですが、取り出せる人に制限を掛けなくてはなりません。お父様とお母様他にはセイルで宜しいですか?」

「ならばグラント卿と両ギルドマスター迄出来るか。」

「分りました、クレイ、ショコラ、プリンみんな大丈夫そう?」

「「「心配ない」」」


「お父様、この執務室の壁と繋げますか?」

「ならば、この隣の私室に頼めるか?」

「国王夫妻とセイル、グラント公爵限定でテント異空間とつながれ~~!できたー。

では、お父様、お母様、セイル、グラント公爵ここに手を順番に入れて貰っていいですか、何か掴めたら取り出して見てください。但し邪な考えで取り出そうとしたら手首の先から手が落ちますので気を付けて下さいね。」

 皆順番に手を入れミスリル鉱石を取り出した。


「今度は私とクレイが手を入れて見ますね。」

 やはり壁を触るだけで、手は入って行かなかった。

「これで大丈夫ですね。」

「ああ、これで必要なときは何時でもそなた達の手を煩わせず、取り出せるのだな。リズありがとう。」

「では両ギルドに向かいギルマスだけの制限を付けテントの異空間を繋げて置きます。」とお父様達と別れ私達は冒険者ギルドに来ていた。


 今この部屋には、冒険者・商業両ギルドのギルマスが居る。

「お伺いしていいでしょうか。」

「なんでも聞いて下さい。私達でお答えできることはお答えします。」

「では、ミスリル鉱石とは珍しい鉱石なのですか? お父様を見ていると、秘密裏に 採掘作業を早急に、済ませようとしている様に見えたのですが。」

 

「ハイ、私達も同感です。ミスリル鉱石自体がとんでもない貴重な鉱石なのです。ミスリル鉱石で作った武器や防具はとても頑丈なのに軽く使い易い、だけど産出数がとても少なく高価なものです。恐らく他国に知れれば、この鉱石を巡って戦争が起こる可能性があります。勿論この国が一番の標的です。なので、国王様は秘密裏に採掘を行いたいんだと思います。」

「分りました。ではこの鉱石を表に出す場合は、両ギルドが勿論携わってきますよね。」

「そうですね、換金する場合は商業ギルドが、防具や武器を作る場合は冒険者ギルドが、他国との取引で使う場合は王宮がと言う様に携わってきますね。」


 商業ギルドのギルマスに、

「手を出して貰えますか。」

「こうですか?」

 私は彼が差し出した手を両手でつつみ癒した。なんだか身体が軽くなった気がする。

「リズ様、今何かされましたか?」

「これでお二人ともに、お父様達と同じ癒しを与えています。これでお二人共危険な 人達から命を狙われても死ぬことは無くなりました。残念ながら寿命は別ですが。

お父様から私のテントからミスリル鉱石を取り出せる方に、国王夫妻とセイルにシャルレ卿と王都のギルマスのみに許可が出されています。どちらの壁とテントを繋げますか?」


「では私しか使えないこの鍵付きの引き出しと繋げられないだろうか?」

 では鍵付きの引き出しと私のテントの異空間を、繋なげ少しでも危機回避出来ると思います。この空間が使えるのはギルマスさん達限定です。

「どうぞよろしくお願いいたします。」

「やって見ますね。出来ました!すいません、ギルマスさん手を入れて貰っていいですか?」

 と冒険者ギルドのギルマスに言って見た。彼は引き出しの底板に手を差し込み、

「こうですか。」

「何か掴めますか。」

「ハイ。」とミスリル鉱石を掴んでとり出した。


「では、ギルマスさんも手を入れて貰っていいですか。」

 と商業ギルドのギルマスに言った。彼が引き出しの底板に手を入れようとしたが、

「なにも起こりませんね。」

 私もクレイもダメだった。これは成功だね。その後商業ギルドのギルマスの部屋に向かい

 同じようにやって見た。商業ギルドのギルマスだけ手が入れられた。

 ちなみに邪な気持ちで取り出そうとしたら、手首の先から手が落ちますと言って置いた。

 事前にクレイ、ショコラ、プリンに、みんな彼等なら大丈夫とお墨付きを貰ったか ら心配はしてないのだけど、万に一つが有ってもイケないので釘はさして置いた。



 その後、昨日解体と、素材買い取りをお願いした代金を受け取るため、冒険者ギルドをもう一度尋ねていた。

 ギルマスより、

「昨日の買い取代金が金貨五千枚だ。」

「何かの間違いでは?」

「ワイバーンの皮二十枚、アナコンダの皮十枚、サーペントの皮に牙、毒・骨にグリフォンだ、全て貴重な部位ばかりだ、これ位はする。で、これがリュウガ達の報酬でこれがラスパルの報酬でこちらが積み立て分、後で確認しといてくれ。」

「「「「「分りました。」」」」」

 と冒険者達は元気に応えてくれた。


「明日のお昼から「死の森」で採掘作業の護衛について頂く事になりました。ショコラが常にいますが、私とクレイとプリンは開拓領に午前中は向かいますが昼からは採掘作業護衛に同行するつもりです。宜しくお願い致します。」

「採掘護衛期間はギルドからも少ないが、報酬も発生するからな。」

 とギルマスが伝えていた。

「やったー!頑張るぞ。」

 と彼等は嬉しそうに応えていた。


「良かったですね。では彼等はもう家に帰らせていただいても宜しいでしょうか。」

「ああ、大丈夫だ、お疲れ様でした。明日から宜しく頼む。」

 とギルマスは冒険者達に頭を下げた。

 その後私達も報酬を受け取り、ギルドを後にした。

 

 翌朝ギルドで開拓領の食料品とお肉を受け取り、市場で何時ものおばさんから、頼んでおいた調味料を買い、王都の外で冒険者達と合流し開拓領に向けて飛び立った。

 まず北の領地に降り立ち、様子を見てびっくりした。

 もう区画が決められ、区画ごとに建物が建ち始めていた。ギルマス邸に立ちより困った事が無いか聞いて見ると、職人さん達に疲労が溜まり、作業能率が下がって来ているとの事だった。これは南の領でも同じようだとの事だった。

 では、私のテントの疲労回復効果がギルドの一部屋に付けられないか、やって見よう。


 ギルマスに皆の休憩所が作れないか聞いてみた。

「みんなが作業後に、交代でお風呂の入った後寛ぐ部屋が有るのでこちらではどうでしょう?」

 ではこちらに、疲労回復と魔力と力を回復する効果を付けて置きますね。

「疲労回復と魔力と力を回復する効果~~~~~~~~!! できたー。ギルマスさん入って確認して下さい、五分程度でも分ると思います。」

「凄い、本当に身体が軽くなりました。」


「では、畑の開墾をしたいのですが、どのあたりにしたら宜しいでしょうか。」

「どれ位必要ですか?」

「そうですね、これ位植えたいのですが?」

 と種と苗を見せた。

「有難い、これが育てば町が出来てもずっと畑作地として使えます。では此処からあちら迄使って開墾しましょうか?」

「ショコラ、プリン此処からあそこ迄前足で土を起こして貰っていい?」

「分った、みんなもやるんだろうな?」

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