第27話 ミスリル鉱石発見


「それとギルマスから聞いたが、ミスリル鉱石を見つけたそうだな。」

「ハイ、今日魔物討伐した洞窟で、明日一緒に視察にお出かけ下さると聞いたのですが?」

「ああ、ギルマスから、昼からなら空いているかも知れないと聞いたが、昼からでいいか?」

「ハイ、ではお昼の食事の後王都の外でお待ちしています。」

「グレンもそれでいいかい?」

「はい殿下大丈夫です。」

「明日が楽しみだ。リズ皆さん頼んだよ。」

「「了解した」」

「お待ちしています。」

 とクレイが答えた。 


 その後みんなテントから出て、私はみんなとお父様の執務室を退散し、ギルドに向かいギルマスに明日ミスリル鉱石がある洞窟視察の詳細を伝えた。

 冒険者と商業両ギルドのギルマスも一緒に同行すると、ここで聞いた。

「では昼食後に王都の外でお待ちいたします。」と伝えてギルドを後にした。


 その後市場に寄り、食材、特に調味料に不足を感じて来たので、買い足しに寄っていた。

 市場のおばさんは慣れたのか、そろそろ来る頃だろうと思って仕入れておいたよ、と仕入れたままの塩、コショウ、唐辛子等の調味料の麻袋をドン、ドン、ドンと出し「これで足りるかい?」と聞かれ後ろを見たらまだありそうなので、

「それも買えますか?」と聞くと、

「全部買っていいよ。」と言われたので、開拓領に持って行くため、空いていない麻  袋の分を全部買った。


 支払いを済ませた後、出来れば次はこの三倍から五倍の量お願いしますと伝えたら、明後日おいでと言われた。

「ホントにあのおばちゃんフットワーク軽くて助かるわー。」


 その後種物屋さんを訪ね何か直ぐに育つ野菜が無いか尋ねようと寄ってみた。

 これサツマイモのつる?これは大根、ジャガイモ、ニンジン、玉葱かなぁ?

「それは蔓下だ。そっちは順に、太根、丸芋、赤根、玉白の種だな」

「どうして蔓下、って言うのですか?」

「この蔓のほら下に根っこが出ているだろう。これが大きくなって芋になるんだ。

この芋は甘いから、子どもたちのおやつにもなる。どんな所でも良く育つし、植えとくだけでいいから、楽でいいよー」


「開拓地の子どもたちに育ててもらえばいいかも。おやつになるなら一石二鳥じゃない。」

「そうだね。」

「すいませんこの蔓下は全部下さい。他にこの太根の種十袋、丸芋の種百球、赤根の種十袋、玉白の苗十袋に、種麦麻袋二つと肥料も下さい」

「蔓下は百束あるけどそんなに大丈夫?」

 とクレイが心配して聞いて来たが。

「大丈夫だと思う。出来過ぎたらギルドを通して売れば良いだけだしね。」

「そうだね。」

「お願いします。」

「ハイよ。」


「ありがとうございます。」

 と支払いをすませ、蔓下十本×百束と太根の種、丸芋の種、赤根の種、玉白の苗と種麦や肥料を受け取りテントに直した。

「明日は出来ないかも知れないけど、明後日は朝からみんなで畑作りだね、ショコラにプリン活躍してね。」

「「リズ、我らに何をさせるつもりだ?」」


 その後宿屋に帰りゆっくり休み、朝食後ギルドに向かった。

 ギルドでは開拓領の分の肉と私達の分のお肉を受け取り、商業ギルドで野菜、調味料他の大鍋や器具を多数受け取りテントに直して行った。その後王都の外に向かった。

 王都の外では二百人の職人とギルマスが待っていてくれた。

「すいません、高いところがダメな人いますか?」

 三十人位が手を挙げたのでこの人達はテントに入って貰った。その他の人はプリンの背中に乗って貰った。


 プリンに合図を送るとゆっくり飛び立ちドララド村に向けて飛びドララド村では半分の人がテントに入り、ラード村では全員がプリンの背中に乗り、まず北の領地で半分の人々がギルマスの指示に従って降り、そこにテント百五十張りを出し、組立て方は前任者に教えてもらえるように頼んだ。


 その後、この領地のギルドに向かい王都のギルドから預かった食料やお鍋他の器具を渡し、今日か明日時間が有れば畑を開墾しに来る事を告げ、出来れば水魔法が使える方と、畑づくりに詳しい人を少し集めてくれると助かる事を告げた。


 南の開拓領でも同じように残りの職人を降ろし、テントを出し、ギルドで食料と調理器具と他も器具を取り出し、畑を作る事を伝え人員の選定もお願いした所で、この領地のギルマスから昨日から体調不良を訴えて来た者がいると聞きその者を訪ねる事にした。

 彼等はテントの中で休んで居たがまず彼等を癒し病気を治した所で私が取り出したテントでやすんで貰いながら、どういう経緯でそうなったか判断することにした。


 食べたものはみんなと同じものだったが、井戸を作業場の近くに見つけ、いつもと違う井戸を利用したようだ、そこを案内して貰い水を汲んで確認した所、村人が逃げ出した後この井戸は使われていなかったようで、水が濁っていたのが原因だった。

 水に癒しの魔法を使い井戸水を清めた。その後同じようにこの領地の井戸水全てをクレイと清めて回った。これで一安心だね。

「明日は北の領地の井戸水を清めて置かないとね。」

「そうだね。」



 その後王都に帰り昼食を取り王都の外でお父様とお母様たちが来るのを待っていた。

 暫くすると両ギルドのギルマス達が来てお父様達が揃って来た。

「皆さんお揃いですか。」

「ああ揃ったようだ。」

「では、プリンに乗って行きましょうか。」

 みんな、プリンに乗って貰い「死の森」に向かった。

 「死の森」に着くとショコラが先導し国王夫妻と執事のセイル、グラント卿とマリの  周りを騎士や冒険者で固めその後をギルマスや私とクレイで進んで行った。

 

 暫く行くと昨日の洞窟に辿り着いた。

 中の様子をショコラが入念に確認しながら入って行った。

 その後を、リュウガとラスパルのリーダーが進み異常が無いとショコラから念話が届いたので、私とクレイで

「皆さん進んで大丈夫です。足元が岩なので気を付けて進んでください。」と声を掛けた。

 冒険者達が水場を囲んで落ち込まない様にしていてくれたのでみんな安心して進めた。


 そして奥に進んだ所、イヤ、昨日は気づかなかったが良く見るとこの洞窟すべてがミスリル鉱石で出来ていたようだ、

 ショコラからの念話で、

「これだけの鉱石が有ると言う事は我の経験では、金の鉱脈や銀の鉱脈も有るかもしれん。」

「どういう事?」

 するとプリンが、

「鉱石が出来る条件は似て比なる物なのだ、この場所ではミスリルかもしれんが、他の条件が揃えば金や、宝石、魔石、プラチナ他の鉱石が取れるかもしれんと言う事だ。つまり鉱石が取れやすい条件がこの付近にはあると言う事だ。」


「そう言えば、この前の洞窟で倒した魔物から金がドロップしていたな。それにこの国の洞窟の魔物は宝石を良くドロップするな。」

 とショコラが呟いていた。これ念話で良かった。

 こんな事をみんなで話している間にお父様達はこのミスリル鉱石の採掘作業について話合いを始めていた。

「リズ今からギルドで採掘要員を百名程程募る。明日から細々でも始めたい。護衛や王都までの鉱石の運搬を頼みたいのだが大丈夫だろうか?」



「大丈夫ですが、明日の午前中はみんなで両方の開拓領に畑の開墾を予定しています。ショコラとプリンの力が無いと時間が掛かりすぎるので、彼等に頼みたいと思っています。ですので、お昼からでいいですか?」

「リズ我らに畑の開墾をさせる気なのか?」

「ごめんなさい伝えるのが遅くなって、そう、その前足の爪で土を掻いて貰えないかと思っていたの。そうするとみんなが楽に畑の準備が出来ると思ったから?」


「勿論プリンにリズもクレイや冒険者達もするんだろうな。」

「勿論それに両方の開拓領のギルマスにも人員の選抜も頼んでおいたわ。」

「ならよかろう。明日さっさと片付けるぞ。」


「ありがとう。ショコラにみんな明日お願いします。と、言うわけで、お父様にギルマスさん明日のお昼からで大丈夫ですか?」

「余は構わんが、ギルドの方はどうじゃ。」

「私達も準備が有りますので、その方が助かります。」


「採掘作業が始まったら、ショコラと冒険者は此方の警護になると思います。ですので、開拓領に向かうのは、プリンと私とクレイになると思うので宜しくお願いします。作業の皆さんはテントの中に交代で休んで頂くようにするので、暫くは、私も午後からはこちらに詰める形になります。」

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