第26話 搬送のお手伝い
昨日と同じところから出発し昨日は森の東側を進んだが、今日は西側を森の奥に暫く進む事にした。
魔物の群れが現れ暫く倒しながら進んで行くと洞窟があった、クレイが
「リズこの洞窟に潜った事ある?」
「ないです。多分、クラットさんあの時の洞窟此処でしたっけ?」とリュウガのリーダーに聞いて見たが、イヤ違うここではないな。との返事が返って来た。
「ならば此処は未踏の洞窟だな?」とショコラが嬉しそうにつぶやいた。
「ならばここを進もう。」とショコラが洞窟の中に入って行った。
その後を冒険者達、私とプリンにクレイと進んで洞窟に入って行った。
ごつごつした岩場を暫く進むと大きな池のような水場が有り、その中に大きなアナコンダの群れが一斉に鎌首を持ち上げこちらを見ている、そこにショコラが電撃魔法を落とした、早くとどめを刺さなければ息を吹き返すぞ。と言われプリンが池の中からアナコンダを掴んでは此方に向かって投げて来るそれを冒険者が仕留め私とクレイでテントの中に直して行った。
「ショコラアナコンダって美味しいの?」
「うまいぞ。」
「クレイ、ショコラが美味しいというからには、食べさせないと怒り出すね。」
「そうだね、直ぐに食べさせろとか言うんじゃない?」
その先に、進むとそこには、ワニの群れが居たクレイの二倍位ありそうだ、ショコラは本当に嬉しそうに狩りを楽しんでいる。プリンも我慢が出来なくなったのか、いつもの三分一位の大きさになって狩りに参戦している。クレイや冒険者達はちょっと苦戦しながらもとどめを刺している。
次々に倒されついに最後のワニがプリンによって倒された。
皆で次々にテントの中に仕舞われていくワニ達。
その先にはイーストサーペントとウエストサーペントがこれも群れとなっていた。此処でもショコラとプリンが次々と倒して行クレイと冒険者達は此方を襲って来たイーストサーペントの群れを次々に倒して行った。最後はボスのトリプルネックサーペントらしく、ショコラとプリンで頭を一つずつ倒し最後はショコラが止めを刺した。
その後このサーペント達をテントに仕舞い込んだ所で気付いた。
洞窟の壁が光っていた。近づきクレイが調べていたが、
「これミスリルだ、それも純度がかなり高い一応ギルマスに見せて見よう。」
と掴める限りの鉱石を持って帰る事にした。
◇ ~ ◇ ~ ◇
此処でみんな腹が減ったと言い出したが、ここでは火が焚けないから、一端外に出て食事の準備をすることにした。
テントを出し、食事担当の私とクレイにイアンとシアル以外は、テントで休んでもらい食事準備担当は準備しながら食事を済ませて行く、みんなの食事の準備を済ませたら、テントで休んで居た彼等が食事する間に交代して今度は私達がテントの中で休んで体力を回復する。
その間にワイバーンの赤ちゃんにご飯を与えていた。
「ねえ、此の子たち少し大きくなった気がしない?」
「確かに、でかくなったな。」
皆のご飯も終了した所で、王都に一旦返る事にした。
王都に帰り着くと何時もの様に冒険者ギルドを訪ね、解体場に来ている。
大量の魔物を取り出し、その中の五十匹分が私達の食料として肉の引き渡しと素材の買い取をお願いした。
「これで開拓者の分までありますか?」
「できればもう少しあると助かります。」
「ではもう百匹で足りますか?」
「大丈夫です。少し余るかも知れません。」
「では此方に出して置きますね。」
「ありがとうございます。」
そのままギルマスさんを訪ね、軽く挨拶を交わし、変わった事は無いか尋ねてみた。
今のところは順調に進んでいるとの事だったが、各領主は領土が広い為、今朝領土に送った警備兵の為に各領主が馬五十頭ずつをこの王都に準備しているのだが、
「プリンに乗せて運べないだろうか?」と相談を受けたが、そもそも馬は大変臆病な所があるから、プリンを見て気絶しないだろうか? 空を飛んだ所で暴れ出さないか? 等考えているとクレイが、
「リズのテントに入れて運べないかなぁ。ワイバーンの赤ちゃんも大丈夫そうだし。」
「流石クレイ、その手があったね。」
「プリン今から北と南の領地に飛べそう?」
「儂なら構わんぞ。」
「では今から馬を受け取りに参ります。それと「死の森」でこんな鉱石が取れる洞窟を見つけたのですが、どうしましょうか?」
「なに、見せてくれ、これはミスリルじゃないか。しかも高純度だ。」
とギルマスは少し興奮気味に喋っていた。
「やっぱりクレイの言う通りだったね。」
「リズ達に馬を運んで貰っている間に、国王様に報告をして置こう。」
「お願いいたします。」
そのまま各公爵邸を訪ね、馬をテントに預かり各領地の警備兵に馬を渡し、討伐した魔物を回収し王都に帰り、解体場に行き各領土で討伐された魔物を渡し、ギルマスさんを訪ねた。
「先程ミスリル鉱石の件を国王様に報告して来た。明日視察し、今後の対策を考えたいとの事だったが、リズ達の予定を確認後決定したいと言われていたがどうだろう。」
「ギルマスさん明日何か領土に運ぶ者が有りますか?」
「ああ、今日で粗方の区画整理が出来たらしい。それに沿って土木工事や基礎工事の為の人員を運ばなくてはならない。」
「その人員の数はどれ位ですか? 」
「王都から各領地に百名ずつと、ドララド村とラード村から各五十名ずつが今決まっている分だ。」
「では移送をお昼までに完了させますので、お昼からの時間でしたら、お父様のご都合に合わせます。とお伝え下さい。」
「又、勝手に決めたけどみんな大丈夫?」
「「「大丈夫だ。」」」
「分った、伝えておこう。」
「よろしくお願いいたします。それとドララド村とラード村にはこちらから迎えに行きますので、身の周り品の準備を整えてラード村には九時頃、ドララド村には九時半頃、村の外でお待ち下さいとお伝え願えませんか?」
「分った、伝えておこう。」
「では王都の二百人は八時頃になりますが大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。」
「では、申し訳ありません、肉解体場には開拓者の方々のお肉は朝七時半位に取りに伺います。とお伝え下さい。」
「分った、伝えておこう。それと商業ギルドで野菜他準備しているものがあるから一緒に頼みたいそうだが大丈夫か。」
「大丈夫です。明日お肉を受け取った後伺いますと伝えて下さい。宜しくお願い致します。」
「分った、伝えておこう。それとリズ様、国王陛下がリズ様を御呼びでした、一度お顔を出して下さい。との事でした。」
「ありがとうございます。ならば、今から向いましょう。では先程の洞窟視察の件は私が今からお父様に会いますので直接決めて参りますね。」
「宜しくお願いします。」
「詳しい事が決まりましたら、帰りに又寄らせて頂きます。行って来ます。」
その後冒険者の皆さんには明日朝八時に王都の外に集合して頂く約束をして解散した。
◇ ~ ◇ ~ ◇
プリンとショコラに何時もの様にお父様の執務室外のバルコニーに運んで貰い、中の様子を確認し扉をノックした。
執事のセイルが扉を開け出迎えてくれた。
「お父様が御呼びと伺い参りました。」
「お父様は?」
「今参ります。少々お待ちください。」
その後暫くセイルを囲んでみんなで話していると、お疲れ気味のお父様と、お母様にマリが部屋に入って来た。
「おお、リズに皆さん御呼び建てして済まない。決定を下す前にリズに確認しておこうと思って来て貰った。」
「その前に皆さん、たいへんお疲れの様なので、テントの中に入ってください。お願いします。お話は中でお伺いしても宜しいでしょうか?」
「有り難い。疲れで思考が鈍りそうなのでな。」
「マリ、お茶の用意が出来たら、貴方もこちらに入って来ていて下さいね。」
「ではまず、ケランドについてだが、王弟の爵位の剥奪で庶民堕ちとしイヌエット
は生涯奴隷落ちとする。ベクターは爵位の剥奪庶民堕ち。ククルとラチェット本人は発言権のない隠居の身分に、後継者には公爵位から子爵位に爵位の降格領土の没収で存続を認め、ロランド商会のアルバランは国外追放とし後継者にはこの王都でロランドの商会名で商売をすることを禁じる。王宮医官他関係者も国外追放とすることに決めようと思うのだが、これでどうだろうか?」
「お父様、お母様のご意見は分りました。では、私の意見を述べても宜しいでしょうか、まず、ケランド叔父上ご夫妻についてですが、この処分だと後々禍根が従姉弟から私に向けられそうで恐ろしいです。ケランド叔父上には王位継承権の剥奪のみでいいのではないかと思われます。イヌエット様には発言権は許さず、今後公式の場以外のお茶会、パーティーに参加することを禁ずる。」
「そんなに軽い刑で大丈夫なのか?」
「ベクターは爵位の降格のみ。ククル様とラチェト様はお父様に決めたままで、アルバランの国外追放は勿体ないと思います、屋号を替え開拓地で商売を始めさせ、彼の持つ商売網があれば、領地は必ず発展するはず。但し定期的なギルドの立ち入り検査は必要だと思いますが、王宮医官の追放も勿体ないです。今迄この国の財で育った貴重な医官達は王都や開拓地の無償で医療が受けられる病院で、この国の民の為に働いて貰えるほうがいいと私は思うのですが、お父様、如何でしょうか?」
「そうだな、もう少しクレイを含め皆と考えてみよう。」
「お願いします。」
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