第25話 町の建設開始


 その後ドララド村とラード村を訪ね魔物肉が不足していないか確認し、両村に各五十匹の魔物を置いて退散した。


 その後王都に帰り解体場に行き、魔物の不足が無いか聞いてみた。やはり他の村同様少なくなって居たようなので魔物百匹で大丈夫との事だった。が、百二十匹出した。

「ニ十匹分の肉は、元シェランド領と元シェトラ領で逃げ出せず残っている住民に配って参りますので、申し訳ありませんが、あすの朝までに準備をお願い致します。」

「分りました。準備をしておきます。」

「宜しくお願い致します。」

 と言って解体場を後にした。


 ギルマスを尋ねると、先日買い取りをお願いした、魔物素材の買い取金額と国民に配った魔物素材の買い取金額がギルマスの机の上に置いてあり、一袋に金貨五百枚入った麻袋が所狭しと、並んでいた。

「昨日の分はどれ位ですか? それと今解体場の百ニ十匹の魔物を置いて来ました。」

「金貨三百枚だ。ありがとう了解した。」

「ではその三百枚を頂きます。他の金貨はこれからこの王都で国民のために必要になった時ギルドで使って下さい。今後も国民に配布する肉の素材買い取り分もそうして下さい。」

「分った、ではそうさせてもらおう。」

「ではこの三百枚金貨で冒険者の報酬のお支払いをお願いします。」

「分った。この十五枚ずつが各チーム取り分で、この分をそれぞれ積み立てておく。明日にでも確認しといてくれ。」

「「「「「分りました」」」」」


「それとワイバーンの卵が三個あるんですがどうしたらいいでしょうか?」

「ちょっと出して見せてくれ。」

「コレです。」

「これはもうすぐ孵るようだ。どうするリズ、ワイバーンも従魔にするか?」

「ショコラに、プリンどうしたらいいと思う?」

「「従魔に出来れば領土の守りは盤石になるだろうよ。」」

「分った。それならこのまま孵化させて従魔にする。どうしたらいい?」

「ワイバーンは生まれて最初に見た者を主とすると聞いた事がある。リズとクレイで孵化させなければならない。多分二~三日で孵化すると思うが、頑張れそうか?」

「「分かりました。やって見ます。」」



「それと明日朝、王都の外に六十人程集まる事になっている、北と南に三十人ずつ運んで貰いたいが?」

「分った大丈夫だ」

 とプリンが返事をしてくれた。


 翌朝宿屋のベッドの上で、隣の部屋から私を呼びに来たクレイと一緒に三匹のワイバーンの赤ちゃんを見ていた。突然卵が傾いたと思ったら卵にヒビが入り殻を割ってワイバーンの赤ちゃんが顔を出してきた所だった。

「良かったクレイ、無事三匹共孵った。」

「本当に良かったね。でもワイバーンって何を食べるんだろう。」

「やっぱりお肉かなぁ?」

「プリンに聞いてみたら?」

「そうだ、ちょっと聞いてみよう。ねえワイバーンの赤ちゃんは何を食べるの?」

 外に居るプリンとショコラに念話で聞いてみた。


「ついに生まれたか。生肉じゃ小さくちぎって食わしておけばよい。」

 とプリンが教えてくれた。

「プリン、ありがとう。」

 と言う事で肉を取り出し小さく切って食べさせてみた。よく食べるね。

 二匹はわたしの手から食べもう一匹はクレイの手からお肉を食べた。

 お腹が一杯になったのか眠り始めたので、テントの中にワイバーンの赤ちゃんを入れみんなの待つ宿の外に向かった。



「みんなおはよう。」

「「儂らも腹が減った。早く飯が食いたい。」」

「直ぐ準備するから、ちょっと待っていて。」

「所でワイバーンの卵は孵ったのか?」

「うん、さっき三個とも無事孵った。可愛かったね、クレイ。」

「ああ、そうだね……。」

「ねぇプリン、ワイバーンってプリンやショコラのように喋るようになる?」

「ああ、多分な、奴らの知能は低く無い、我ほどではないが、喋れるようになるはずじゃ。なぁショコラ。」


「ああ、それにグリフォンも賢いぞ、今度卵を見つけたら試すといい。」

「そ・そうなんだ……。この国魔獣だらけになりそう…。」

「さぁ、ご飯が出来たよ、さっさと食べて王都の外に行かないと、ギルドの人達が待っているよ。」とクレイがみんなの前に焼いたお肉を出してくれた。

 食事を済ませ、王都の外に向かうと、生活用品を担いだみんな待っていてくれた。



「おはようございます。皆さん遅れてすいません。」

「どうした、珍しいな。」とギルマスが言って来たので、

「今朝、宿屋を出ようとしたら、ワイバーンの卵が三個とも孵ったので、彼等に食事を与えていたら、遅くなってしまいました。申し訳ありません。」

「イヤ、何事もなくて良かった。」


「それじゃあ、北から行くぞ、リズにギルマス早く乗れ、出発するぞ。」

「分った、ゴメン」

 皆さんが乗った所でプリンに合図を送り、出発した。


 北のデナス公爵領に着いた所で一端全員に降りて貰い、ショコラに隠密スキルを掛けて貰いテントを隠して貰った後テントから四十張のテントを出した後わたしのテントを片付け、スキルを解除して貰った。

 その後みんなと一張組立て、暫くはこれで我慢して下さいと伝え、此処にはショコラとマシュマロとリュウガ達に残って貰い魔物が現れないか見張って貰っている。


 残りの人員を乗せ南に向かった。その間に食事や水をどうするか聞いてみた、水は逃げ出した住人が使っていた井戸があるから心配はないそうだ。食事は前領主邸にギルドと同じ空間貯蔵庫があるらしくそこを利用し、食料を備蓄する予定にしているそうだ。

「では一端彼等を降ろしたら、食料を運べばいいですね。」

「ああ、大量なので助かる。」

 そうこうするうち南のグラント公爵領に着いた。此処でもテント四十張りを出し組立てをして貰った。

 此処にはクレイとポッキーにラスパル達に残って貰い魔物の警備を頼んでいる。


 プリンと私は、王都に引き返し、冒険者ギルドで、昨日頼んだ魔物肉二十匹分の肉を受け取り、更に新領地開拓者の皆さんの肉を大量に受け取った後、更に魔物を大量に出し、商業ギルドで調理器具や生活用品に食料品を受け取り、開拓者を護る為の新領主が揃えてくれた、警備兵をそれぞれの村に百人ずつで二百人をプリンの背中に乗せ運んだ。

 各領地に着くと、テント百張りを出し、元領主邸の貯蔵庫に食料や調理器具、生活用品をみんなで運び込みを終えた。


 その後逃げ出せず各領地で暮らして居た領民にお肉を配りながら魔物の事や前領主の事等の話を聞いた。

 そして、彼等には、領主様が変わった事やこの領地に町が作られる予定など必要な事を伝え、困った事が有れば元領主邸のギルドに相談して。と伝え、村の開拓に参加すれば、ギルドから報酬が貰える事や食事の提供がある事も伝えた。

 開拓に参加して頂けるならば、ギルドに申し入れして頂かなければならないが、人手は多いほうがいいので皆さんにお声掛け頂ければ。と伝えた。


 その後、北と南の領地に残していたショコラとクレイに冒険者のリュウガとラスパルを引き上げさせ、マシュマロとポッキーには残って貰った。その後王都のギルマスを訪ね用件が無いか聞いた所、

「食事担当でご家族の方からの申し出が三十人とお子様で百人程あるのですが、今から行けそうですか?」

「はい、では今から連れて行きますね。その後は狩りに行っても大丈夫ですか?」

「大丈夫です。」


「では、王都の外で待っています。失礼いたします。」

 とギルドを退散して王都の外で待っていると、ギルマスがみんなを連れて来てくれた。

 テントが必要なら出しますが?と聞いたら、女性と子供なので、安全面を考え元領主邸で寝泊まりして頂くようにしているそうで、テントは出さなくても大丈夫だと言われた。

「了解です。」

 その後みんなプリンの背中に乗って、まず北の領地を目指し飛び立った。

 半分の五十人を降ろすと、南の領地に向かい全員を降ろし、そのまま「死の森」に狩りに向かった。

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