虐殺器官 ー2025.1.8.
監督:村瀬修功
「原作未読には向かないのか」
原作未読。
三部作最後の「屍者の帝国」文庫を手に入れたため、予習として見る。
これは恐らく原作の細かい所を端折っているのでは?
と思えるエンタメ比重だった。
コチラは文字ではなく映像作品のため、言葉で説明せずとも細やかな設定やディティールは表現できるというもので、おそらくされているのかもしれないが、その雰囲気、情報量の多さは感じるものの掴み切れず、SF特有の醍醐味半減で歯がゆかった。
資本主義が世を席巻し、割を食っていた原理主義と対立していた当時を思い出す。
今も変わらないだろうが、当時は新たな世界線を目の当たりとしたことが印象深い。
世界の住み分けと、そのための内戦虐殺と、仕向けるための言語操作というハットトリックなサスペンスと見たが、これは原作を読まなければ本筋を見極めたとは断定できそうにないなと思う。
戦闘シーンの主観視点が臨場感があり、浸れた。
ただ作画に統一感がなかったように感じ、内容の重厚さを維持しきれていないところがもったいなくも感じた。
アニメ化と実写化、どちらに振り分けられるかの決め手はどこにあるのだろうか。
よく実写ではむり、という話を聞くが、だとすれば実写には限界があるがアニメにはないような印象が残る。
もしむりを通して実写化したとして、それは駄作に終わるのだろうか。全てを見せなければならないわけでもなく、見せないことで見せるという技法を堂々とれるのが映像作品なら文字を映像化するに当たって見せる、見せないを選べるはずで、見せないが表現する方法を考えてもいいと思える。
ロケーションや衣装小道具を揃えることが大変だ、というのであればそれは金銭の問題だろうし、予算内で作るならアニメという選択の仕方があったとして、やや失礼な気もする。実物を用意することはないが、デザインをしなければいけない点においてアニメも実写も労力に大差はないのではなかろうか。
原作を読んでいない本作において、原作内でガジェット等の描写がどこまで詳細にされているのかを知らない。だが絵から読み取るにその構造やシステムは設定としてリアリティをもってしっかり盛り込まれている感があり、その複雑さと膨大なところから実物での再現は難しいと、なおかつ海外が舞台となって点々と場所も変わるためロケハンが大規模とアニメ化が進んだように見受けた。だが、鑑賞後の感想は実写で観たかったという思いが残っている。
アニメが悪いのではなく、作品の持つリアルさはアニメで表現しきれる生々しさではなかったような気がしている。
たとえフル再現でなくとも作品全体の雰囲気を届けるのであればまず舞台化、のちに人間ドラマとして映画仕様に構成しなおしたものが最適だったのではなかろうかと感じている。
ごく個人的に。
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