第3話 生物科学研究所


 エイルは鬼人たちを後に、生物科学研究所へと到着した。すでに外観は朽ち果て廃墟と化していた。


(ロックキーはゼロスリーワン。地下1階の101室にある〝Black〟を持ち帰れ)


 メモリにある大佐の声を再生した。

 エイルが入口を入ってすぐ右側の階段を降りると、左手に101室があった。部屋の前の研究員の死体を蹴りどかすと、ロックキーを入力し中に入った。

 ここだけ手つかずの状態だった。ここだけ時が止まっているようにも感じた。そして――

「誰だ」

「……」

「鬼人、か?」

「……違う」

「では何者だ?」

「……お前たち同盟国政府のだよ」

「ふん。何しにここへ」

「……〝Black〟を探している」

「〝Black〟か……。ワクチンを作るのか?」

「……知らん」

「ふん、まあいい、持っていけ。どうせニホンはもう時期終わる」

「……」

 エイルは研究員から検体〝Black〟を受け取ると101室をあとにした。




「首相、米国への入国ルートは確保しました」

「……うむ」

「しかし本当に良いのでしょうか」

「何がだ」

「ニホンを裏切るようなことをして」

「こればかりは仕方ないのだよ」

「そうですか……」

 首相を乗せた小型機がニホンを飛び立った。




 エイルが空を見上げると小型機と思われる機体が見えた。だがエイルは表情一つ変えず、生物科学研究所の裏にある一般車両に乗り込み別ルートでチバ沿岸基地へと走り出した。

 道中、鬼人の食い残しが散在していたがエイルはそれを避けるように足を進めた。案外楽にトーキョーを抜けると大型幹線道路を走り目的地を目指した。



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