第3章 4話 やっぱり…
それから、少しずつ二人の関係は進展していった。
毎日、電話かメールをして…
渉は、毎日梓の欲しい言葉を言ってくれる。
お互いの家を行ったり来たりして…
キスしたり、抱き合ったり…
でも、渉はなかなか手を出して来なかった。
それから数か月経って…
二人で旅行に行った。
そして、その日に私達は初めて結ばれた…
私は、初めてだったけど、渉は慣れている感じがした。
すごく幸せな瞬間だった。
「渉は、梓さんとやっと結ばれた…こんなに嬉しい日はないよ」
本当に、嬉しそうに…話す。
二人は、初めて同じ布団で一緒に眠った。
毎日が輝いていた。
これまで、仕事と家の往復だった日々が嘘のように…
毎日、楽しくて…
仕事も頑張れる。
―――早く渉に会いたい…
渉も、同じように…言ってくれる毎日…
そんな幸せな日々が、ずっと続くと思っていた。
これからも、ずっと…続くと…
渉と付き合い始めて…1年過ぎた頃…
梓は、身体の変調に気が付いた…
下着に、薄い出血があったのだ。
―――これって、もしかして?
―――そういえば、今月遅れてる…
梓は、検査薬を買って…
家で検査をしてみた。
判定を待った…
判定は、陽性…
とはいえ…病院に行ってみないと分からない…
もし…妊娠していたら、どうしよう?
渉は、大学4年生…就職も決まっている。
就職したばかりの渉に責任を負わすのも…
梓は、渉には何も言わず…
次の休みに産婦人科に行った。
結果は…
「妊娠してますね。11週目を過ぎたぐらいだと思われます。おめでとうございます」
やっぱり、妊娠していた。
梓は、エコー写真を見て…
長男と二男が出来た時のことを思い出した…
―――産みたい…
どうしよう?
もし、おろして欲しいと言われたら…
渉に限って、そんなこと言うはずないよね…
とりあえず、渉に相談してみよう…
驚かそうと…
突然、渉の部屋に行くことにした。
渉の部屋の合い鍵は持っている。
渉がいなかったら、部屋で待とうって思って…
渉の部屋に行った…
ピンポンを押したけど…
出て来なかったから…
梓は、合い鍵を使って部屋に入った…
―――あれ?靴はあるな…
―――でも、女物の靴もあった…
恐る恐る…部屋の奥に行き…ベッドに向かう…
そして、梓がみた光景は…
渉が、他の女と一緒にベッドに入っている姿だった。
渉が慌てて起きた…
服を着ながら…
「梓…違うんだ!」
女も慌てて服を着て…
「えっ、どういうこと?この人誰?」
梓は、何も聞かず…
その部屋を後にした。
梓は、可笑しくて仕方なかった…
結局、こうなるんだ…
笑いながら…涙が溢れた…
やっぱり…渉はクズな男だった。
妊娠を相談するどころか…
浮気の現場を見ることになるとは…
―――私ってバカみたい…
渉からは、電話が鳴り続いた…
でも、梓は出なかった。
渉から、言い訳を並べたメールが沢山きた。
梓は…
―――さよなら―――
それだけを渉に送った。
渉のことは愛していたけど…
いくら渉が謝ろうとも、こればかりは許せない。
それからも、渉からのメールは続いたけど…
梓は、無視をした。
ただ…これからどうしたらいいのか…
この子を産むのか…どうするのか…
それだけが、心配だった…
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