第3章 3話 告白

渉は、毎日メールをしてきて…梓の生活の中にどんどん入ってきた。

梓は、夜勤もあるし勤務も不規則で…一般的に働いている人だと

なかなか時間が合わない…

それで、彼氏と別れてしまう先輩の話もよく聞いていた。

でも、渉は大学生で…

しかもバイトもたまにしかしない…

だから、梓に合わせて会うことも可能だった。



梓は、どんどん渉を好きになっていった。

疲れた夜に、渉の声を聞くと…元気がでた。

眠れない夜に、渉の声を聞いていると…なぜか眠れた。

渉は、何の迷いもなく…



「梓さん、大好き」



とか、愛の言葉を言う。



それが、梓にとって…心地かった。



私も、渉のことが好きだと思う瞬間もある。



けれど、そんなことを思いながらも…

元のことを愛している自分がいる。



これまで、何度も生まれ変わって…

元と会えたとしても…

愛し合えていない。

もしかしたら、もう会えないのかもしれない…

そう思いながらも、死ぬ度に…

願ってきた。



最初の人生は、渉と愛し合って…

それがダメになって…

元に会うことができた。



最初の人生も、あの時に元に会わなければ…

私たちは愛し合うことはなかった。



こうして渉を好きになることも運命なら…

受け入れるしかないのかな…



それから…梓の休みの日に食事に誘われた。



「梓さん、今日はオシャレしてきてね」



渉がそう言ったから、梓はオシャレをして出かけた。

そして、渉は最初に二人で行ったレストランに

梓を連れてい行った。



ここは、いつ来ても緊張する…



渉も今日はスーツを着て来ていた。



「どうしたの?改まって…」



「梓さんと出会って、半年が過ぎたから…その記念…」



「そうなんだ…もう半年過ぎたんだね…」



「そうだよ。それで俺の事、知って貰えたかな?」



「そうね。だいぶ分かったけど…まだまだかな?」



「そうか…まだまだ頑張らないといけないみたいだね」



そう言いながら、渉は梓を見つめて微笑んだ。



―――この笑顔にやられるわ…



最初の人生の渉は、年上で…

大人だけど、知らない世界に生きている渉に惹かれた。

でも、今私の前にいる渉は、年下で…可愛い…

全く違うから、不思議な感じだった。



「約束通り…今日は私が払うから…」



「いや、俺が払うと言いたいところだけど…約束したから…お願いします」



「約束は守らないとね…」



「梓さん、ごめんね。ありがとう」



店を出てから…



「俺、頑張るから…いつか俺のことを好きにさせてみせるよ」



……



梓が黙っていると…



「梓さん、どうしたの?俺何かした?」



「ううん……違うの…私は、もう渉のことを好きになっているんだよ。渉のことを知らなくても…今は、もっと渉のことを知りたいと思ってる…」



「そうなの?俺…嬉しいよ。やったー!」



渉は、叫びながら…

梓を抱きしめた…



「梓さん、ありがとう…」



それから…梓は、自分の部屋に渉を招いた。



部屋の電気をつけて…ソファに座る…



二人は、見つめ合った…

そして、渉は優しくキスをした。



「もっと、梓さんに触れたいけど…今日はここまで…梓さんとは、ゆっくり進みたいから」



渉は、我慢してくれた。



梓も、正直今の人生では経験がないから…

それは、助かった…



初めてのキスは、○○の味がするとか言うけど…

そんなのは無い…

ただ、ドキドキした……


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