第3章 5話 シングルマザー
梓は、どうするか迷っていた。
でも、渉の子だから…ではなく…
この子を中絶してはいけない気がした。
これから一人で育てられるのだろうか…
梓の病院は大きいから、育児休暇の制度もしっかりしている。
シングルマザーで産むと言ったら、ビックリはされるだろうけど…
この子のことは私が守る…
渉からは、まだ話がしたいと連絡は来ていた。
でも、梓はもう渉と会う気はなかった。
ただ、渉に黙って産んでもいいのか?とも思ったけど…
どうしても言いたくなかった。
両親にも言わなければいけない…
梓は、実家に帰って話すことにした。
両親を目の前にして…
「実は…子どもが出来たの…」
「えっ、結婚するのか?相手はどんな奴だ?」
と父が言ったけど…
「相手とは別れた。この子は一人で産むつもり…」
「はっ?何を言ってるんだ!そんなことお父さん許さないぞ!」
父は、怒鳴った。
「そうか…私は、梓を応援するよ」
母が口をひらいた。
「はっ?お前何を言ってるんだ…」
「梓が、じっくり考えて決めたことでしょ?それなら大丈夫だと思う…」
父は、怒って部屋から出て行ってしまった…
「お父さんのことなら大丈夫…今は、驚いてるだけだから…私が何とかする」
「お母さん、ありがとう」
母はいつも私の味方だった。さすが私のお母さん…
最初の人生では、母は早くに亡くなったから、こうしてお母さんに甘えることが出来るなんて…夢のようだった。
病院にも伝えた…
同僚には驚かれたけど、みんな応援すると言ってくれた。
それから…
突然、病院に渉が来た。
「梓、話を聞いてくれ。俺は、どうしても梓のことが忘れられない…」
「私は、何も話すことはありません。迷惑なんでこんなこと、もうしないでください」
そう言って、追い返した。
その日を境に、渉から連絡が来ることはなかった…
これ以上、渉と関わりにならない…そう決めた。
梓は、自分の病院で検診をして貰って…
自分の病院で産むことにした。
ギリギリまで働いて…
産休に入らせて貰った。
そして…予定日から5日後…
トイレに行くと破水していた。
母に連絡をすると、母が来てくれた。
急いでタクシーで病院に向かった…
病院に着くと…
陣痛を促進する点滴をした…
暫らくすると、陣痛は始まった。
「お産は、何十年も前だけど…3人も生産んでるんだから…任せて」
母は、陣痛が来るたびに、腰をさすってくれた。
それで、痛みが全然違う…
どんどん、陣痛の感覚が短くなっていって…
いざ、分娩室へ…
今回の人生では、初めてだけど…
最初の人生で2回経験している。
でも、すごくすごく遠い昔のこと…
すごく苦しかったけど…
無事に、男の子が生まれた。
その子を見た瞬間に、産んで良かったと思った…
その子は、輝いていた…
その子は、最初の人生で長男だった子だ。
私の元に生まれて来てくれて、ありがとう。
やっと、会えたね…
父が、病院に来てくれて…
子どもを見て泣いていた。
母が…
「ほら、大丈夫でしょ?」
と笑った。
入院している間は、同僚も来てくれて…
励ましてくれた。
私は、子どもに「
これから、どんなことがあったも
あなたを守るからね…
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