第2章 9話 元の結婚
それから、半年が経ち…
義妹と元の結婚式が行われることになって…
岳と一緒に参列した。
義妹の控室に行くと…綺麗なウェディングドレスをまとった義妹…
「すごく綺麗よ…ね?岳さん…」
「ありがとう。義姉さん…お兄ちゃん」
「元さん、惚れ直すかな?」
「そりゃ、惚れ直すさっ」
みんなで笑いあっていると…
「何の話ですか?」
と元が入って来た。
「内緒よ。それより、どう?」
「すごく綺麗だ…」
感動している元…
梓は、複雑だった。
2回目の人生の元は、若くして亡くなった…
あれを見ていたら、すごく幸せそうにしている元を見るのは嬉しい…
でも、目の前で元が別の人と結婚してしまう…悲しみ…
自分の感情をどうしていいのか…梓は、分からなくなった。
結婚式が始まり…
元を見ていると…なぜか、涙が流れた…
それを、そばで見ていた岳が…
「梓、どうしたんだ?感動したのか?大丈夫?」
そう声を掛けてくれた…
「私たちの結婚式を思い出してしまって…そしたら涙がでちゃった」
「そうか…俺たちの結婚式も、良かったよな…。結婚式はいいもんだな…」
「そうね…」
そう誤魔化した…
これから、元が親戚になってしまう。
私は、冷静でいられるのかな…
正直、自信がない…
私は、岳を愛している。
でも…元のことを諦めきれない自分もいる。
結婚式は、みんなに祝福され…終わった。
それから、元とは岳の実家で会ったりと…
会う機会が増えた。
ある日…
岳から電話があった。
「梓、今日大事な書類を忘れてしまったんだ…その書類は、元くんに渡す書類なんだけど…取りに帰ろうと思ったら、元くんが近くにいるっていうから、今から取りに行って貰うよ。悪いけどお願いしていいか?」
梓は、ちょうど有給休暇を取っていて、自宅にいた…
「いいわよ。書類はどこ?」
「書斎の机の上に置いたと思うんだけど…」
「あっ、あったわよ」
「じゃ、頼んだよ。ごめんな。元くんにお茶でも出してあげて」
「分かった」
梓は、元が来ることにドキドキした。
初めて、二人っきりで会うことになる。
数分して、ピンポンが鳴った。
「はい」
「すみません…岳さんから聞いてると思うんですけど書類を取りにきました」
「聞いてますよ。とりあえず、上がって下さい」
「いえいえ、すぐ帰ります」
「岳さんから、お茶を出すように言われてますから」
「そうですか、じゃお言葉に甘えて…」
「コーヒーでいいですか?」
「はい。コーヒーがいいです」
梓は、コーヒーを出した。
「頂きます。なんか、すみません…。あれ?今日お仕事は?」
「計画有休なんですよ」
「そうなんですね…。あの…梓さんって僕と会ったことありますか?」
「いえ、祖父の葬儀の時に見かけたのが初めてですよ」
「そうか…なんか、梓さんと会ったことがあるような気がして…気のせいですね」
「よくある顔なんですよ…」
「いえそんなことないです。梓さんを見ていると…なんか懐かしい気持ちになるんです。気持ち悪いこと言ってすみません…」
梓は、思わず言ってしまいそうになるのを抑えた…
無言のまま、見つめ合う二人…
元が慌てて…
「すみません。変なこと言って…僕、もう帰ります」
元は慌てて帰っていった…
危ないところだった…
生まれ変わりのことを言ってしまいそうだった…
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