第2章 10話 三度目の人生の終わり
あれから、元に会う度に…
梓は、元に見つめられていると感じることが多くなった。
元は、いつも何か言いたそうだった。
あれから、元と二人で会うことはない…
私は、元に見つめられる度にドキドキした。
心は、正直だ…
いくら気持ちを止めようと…
そっけない態度を取っても…
心の鼓動は止まらない…
元は、岳の義妹の夫…
そして、私は岳を愛している…
何度も、自分に言い聞かせた。
元も、真面目な人のようで…
あれから梓に、何も言ってこない…
これ以上…お互いに近付いてはいけないと思っているのだと思う。
私は、元と愛し合うために生まれてきた…
でも、いけない関係になってはいけないことは分かっている。
また、諦めるしかないのかな…
そんな時…
突然、元から連絡があった。
「もしもし元です…」
「えっ、どうしたんですか?何で番号が…」
「前、伺った時に…お義兄さんに聞いてたんです…」
「そうだったのね…」
元は、黙っている…
「あの…何かありました?」
「実は…あれから、どうしても梓さんのことが気になって…ずっと我慢していたんですけど…」
「どういう意味ですか?」
「僕にも…どう説明していいか分からなくて…でも、一度会ってお話できませんか?」
「でも、二人で会うのは…」
「ダメなことは分かっています。一度だけでいいので…僕はただ確かめたいだけなんです。どうこうする気はないので安心して下さい…」
こんなこと…いけないことは分かっている…
でも…
「分かりました…いつがいいですか?」
そして、1週間後に会う約束をした。
たぶん、元は前世のことを感じ取っているのかもしれない…
私は、会ったら生まれ変わりのことを言ってしまうかもしれない。
でも、この状態で愛し合うことは…無理なのに…
どうしたらいいのか…分からない…
でも…会いたい衝動を抑えられない自分もがいる。
毎日、葛藤しながら過ごした。
仕事も身に入らず…ミスばかり…
会ったら、何を話せばいいのだろう。
生まれ変わりのことを知っているのは私だけ…
例えば、元にそれを言ったとして…
信じるわけがない…
会ったからって…どうしようもない。
元は、何を話そうとしているのだろう…
週末に、岳がドライブに行こうと言ってきた。
最近は、お互いに忙しくて遊びに行けてなかったから…
すごく嬉しかった…
岳と、海を眺めながら…
オシャレなお店でランチを食べて…
帰ろうと…海沿いの道を走っていた
その時…
反対車線から、ものすごいスピードの車が
私達の車に突っ込んで来た…
あぁ…
その瞬間に…私は死んでしまうのだと…
確信した。
やっぱり…罰が当たったんだ…
元と会おうとしたから…
まるで、スローモーションのように車が飛んでいく…
そして…
車は崖に落ちていった…
元さん…やっぱりいけないことはしたらダメなのね…
会えなくて…ごめんなさい。
さようなら…
そして…
岳…ごめんさない。
私は、やっぱり…
もう一度、生まれ変われるか分からないけど…
―――もう一度生まれ変われるなら、元と愛し合いたい…
そう願った…
岳は、奇跡的に助かったけど…
梓は、死んでしまった…
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