詩の部屋 11


  ○ 31


切子のコップからもう一口水を飲む

水といっしょに喉の奥を

聞いたこともない音が過ぎていく

軽い金属を叩いたような

それをずっとループさせたような

身体に悪かったらどうしよう

一瞬心配するがもう血液に溶けて地下へと流れていって


  ○ 32


レタスとキュウリが私の寵愛を争って

器の中で言い争いをしている

仕方なくたっぷりとドレッシングがかかった

トマトから口に運ぶ

か細いブーイングが聞こえて私が器を見ると

レタスもキュウリも目を合わせてこない

どちらを先に食べるかしばし思案する


  ○ 33


キュウリをフォークで刺して口に運ぶ

サクサクという音といっしょに

口の中で言葉がこんがらがって

無数の組み合わせを作る

やがて無意味という混沌に変わって

飲み込むと喉を通っていく間に

様々な詩の種となって血に溶け込んでいく

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