詩の部屋 9
○ 25
詩の部屋の床を撫ぜてみる
古い床板の木目から
何か細かいものが湧き上がってくる
それは小さな文字のような声のような
弱々しいような力強いような
詩の部屋の愚痴なのかもっと深遠なものなのか
何もわからないままもう一度床を撫ぜる
○ 26
詩の部屋の隣にあるキッチンには
見たこともない道具が並んでいる
何かを切るためなのか混ぜるためなのか
みじん切りにするためなのか多面体にするためなのか
金属やガラスでできた道具の表面は美しく磨かれ
それぞれ思い思いに光を反射して
無言のおしゃべりをずっと続けている
○ 27
台所にあるまな板でキュウリを切る
切るたびに文字が転がり出す
アルファベット キリル文字 漢字
何の脈絡もなく現れて
床に落ちるとピリンピリンと小さな音がする
トマトも切ってレタスをちぎる
サラダを運ぶ足元で小さな音が止まらない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます