詩の部屋 6


  ○ 16


詩の部屋に入って

ずっと手を洗っている

BGMはノクターン

特に興味はないが

どこからか現れた猫が

それに合わせて鼻歌を歌ってる

まだもう少し手をきれいにしてから


  ○ 17


詩の部屋にあるレコードを調べる

古いバイオリンの絵が

書いてあるジャケットには

知らない文字が書かれている

そのレコードをプレーヤーにかける勇気がない

私は苦笑いをして振り返って

猫と視線を合わせてからソファに座る


  ○ 18


窓の外に茂っている木々の

名前は分からない

この部屋に来ると

知らないことばかりだということを思い出す

それでも忘れてしまっていた写真が

抽斗に入っていたことがフッと浮かんで

それを思い出せたことになぜか満足している

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る