詩の部屋 3


  ○ 7


詩の部屋で私が落とした言葉から

いつの間にか小さな芽が出ていた

花になりたいのかそれとも

大木を目指しているのか

部屋に差し込むのは薄っすらとした陽光

例え埋もれてしまうのだとしても

今ここにいることは変わらない


  ○ 8


窓を開けると

入ってくる風はまだ冷たい

それだけで詩の部屋の

何かが変わるわけではない

それでも耳を澄ましてみる

床下で壁の中で天井裏で

微かに蠢く歴史というものたちの気配


  ○ 9


詩の部屋の中でぼんやりと

自分の心臓のことを考える

何かが流れていると信じたいが

その実体は単なる虚無

生み出すことなどできもしないのに

嘔吐えずいて何かがあるように振る舞って

無を温めて孵化するのを待つ

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