詩の部屋 2
○ 4
詩の部屋の壁を覆っているのは
たくさんのスープ皿
底に描かれたいくつもの絵を見ながら
この皿にはどんなスープを入れようかと想像する
机の上に書かれた落書きは
昔、小学校の机に書かれていたもの
あの時落としたクレヨンもいっしょに置かれて
○ 5
詩の部屋にあるはずの
詩を探して回る
机の裏を見てみて
ソファのすき間をさぐる
壁を飾るスープ皿はどれも絵と柄だけ
言葉と言えるものは何もなく
疲れて一言も浮かんでこない
○ 6
詩の部屋にある
ノートを開いてみる
「あの時彼女は何かを言おうとして
私の言葉がそれを邪魔した」
その先は
私のことであるようで誰のことでもないようで
微かな鳩時計の声が時を告げている
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