第9話:生存者
「夜がきたね。」
ここについたときに遊び回っていた動物たちが消え、代わりに走光性をもつ小さく不快な虫たちがよってきた。植物たちは闇の中に姿を隠し、なにかに怯えるようにだが静かに体を動かしている。
「夜も交代制での見張りにしよう。外に何がいるのかわからない状況だからテントの中ですることになっちゃうけど。退屈しのぎのパズルもあるよ。」
コンパスはカバンの中から直方体で手のひらサイズの白い箱のようなものを出した。周りが完全に白一色でパズルはおろか退屈しのぎにすら使えなさそうである。
「これが?」
「あれ、見たことない?これを開けると。・・・・・・いくつかのブロックと1枚の紙が出てくるの。そして、このブロックを使って紙にかいてある形をつくるっていうパズル。」
紙にはさまざまな複雑な形が描かれている。これらの形をこのブロックすべてをうまく組み合わせて紙にかいてある形と同じのを作るというものらしい。
「積み木?」
「自由じゃない積み木と思えばいいよ。結構いろんな人がやっているし少しの暇つぶしにはちょうどいいと思うよ。」
「なるほど、わかった。というかこの話の流れだと俺が見張りをやることになっていないか?」
「うん、じゃあおやすみ。」
「いやまてよ。さすがに不公平だろ。」
「流石に気づかれたか。それじゃあもう一回じゃんけんしよう。今回も私が勝つけどね。じゃんけんーー・・・・・・」
「それじゃ私寝るね。あまり大きな光はつけられないからこの小さな光で我慢してね。そのパズルの半分が終わったらおこして。おやすみ!」
「ああ。」
ライロックは小さな光のみでなんとかすぐにパズルを終わらせようと目を大きく開いた。
パズルが四分の一ほど終え少し休もうかとパズルから目を話すと外に光があるのがテント越しに見えた。その光はおそらく単純に炎によるものだと予想でき、さらに右や左に大きく動いていたので、ライロックはこの草原で火事が起きているのかも
しれないと考えトンカとコンパスを起こすことにした。
「コンパス、トンカ。起きろ。火事が起きているかもしれない。」
「火事!?」
コンパスはすぐに飛び起きたが、目が右往左往しており珍しく困惑し、驚いていた。
「おい、トンカ。起きろ。おい!」
「トンカ!起きて!」
「・・・・・・・?どうしたの?」
「火事が起きているかもしれないの!ライロック様子を見てきてくれない!?」
「ああ、分かった!」
「・・・火事?僕がおしっこかけてくるよ。後で食べるから冷蔵庫にいれといて。」
「目覚まして!!!トンカってこんなに寝起き弱いの!?」
「・・・っ!?火事は食べられないよ!!」
「当たり前だろ!!ほら、荷物もって!」
「あ、うん!なんで!?」
「とにかく持って!」
もしイライラの大きさによって力が強くなるならばコンパスは世界一強くなっていただろう。
トンカとコンパスは自分たちの荷物とライロックの荷物をまとめ、すぐにテントの外に飛び出した。
「ライロック!火は!?・・・え?」
テントの外は夜の静かな冷気で包まれており植物たちは相変わらす闇のなかで体を動かしていた。
「見間違え!?ライロッ」
「静かに。」
ライロックはすぐに消えそうで怯えた声で言った。見るとライロックは一寸も動くことはなくその先の何かをじっと見ていた。
「どうしたの?」
「ご飯は・・・?」
「トンカうるさい。」
ライロックがコンパスの問いにまったく答えないのでしかたなくコンパスが直接ライロックが見ている先を見ると炎が浮いていた。しかし目を凝らすとそれはランタンのようであった。それ以外はまったく闇に隠されていた。ランタンが浮くことは考えられないのでそこには”何か”がいることが分かった。
「人・・・?」
「わからない。だが大森林の中には何がいるかわからない。人と同じ知能を持った生物がいるかもしれない。」
「私達どうすれば?」
「好戦的な生物だったらすぐに逃げろ。俺も一緒に逃げる。」
「分かった。」
ランタンの光は少しずつおおきくなっている。”何か”がだんだんこちらに向かって動き出している。コンパスとライロックは少しずつ後ずさりをしていたがトンカはなぜか”何か”に向かっていくのでライロックが抱きかかえた。
「・・・もう逃げていいよね?」
「ああ。先に逃げろ、ついていく。」
コンパスは若干体を横に向けいつでも走れるような体制になった。
ランタンはさらに近づいてくる。二人の息が荒くなる。
ランタンがさらに近づき光がライロックの足元1メートルにまで届いたときに、恐怖で我慢ができなくなったコンパスは走り出した。草を荒く踏みつける音を聞いたライロックもトンカを抱きかかえながらすぐに走り出した。”何か”はそれが予想外な行動のせいかランタンを落としそうになるもすぐにライロックめがけて走り出した。
ライロックはトンカを抱えているせいか本来のスピードを出せず”何か”追いつかれた。”何か”は手を伸ばして肩をつかもうとしてくるがライロックは何度も振り払った。そのうち”何か”は面倒くさくなったのかライロックの背中を思いっきり押し、急な加速をもらったライロックは頭から大きな音をだして体を地面に叩きつけた。
「ライロック!!」
「コンパス、トンカを!」
そういい2メートル先ほどにいるコンパスにむかって腕を精一杯のばして渡した。”何か”はトンカとコンパスが一瞬停止した隙を見て腕を掴もうとしてきたがコンパスが思いっきり振り払った。
「コンパス、先にいけ!!」
それを最後まで聞かず、”何か”の恐怖で包まれていたコンパスはトンカを抱え草原の果に向かって走り出した。”何か”はコンパスたちを追いかけることはなく倒れたライロックの脇に座った。
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