第7話
斎場で、先に来ていたおじさんに、挨拶をする。舞の車に、僕とオバン。オバンを車椅子に乗せ、斎場に入る。
昨日よりは、少ない人数。受付も、見知った顔に、挨拶をするだけになっていた。
受付を終了させると、僕は着席する。程なくすると、坊さんがお経を読む。
お経が終わると、ジジイのお見送りになる。
「これ、作ってきたの」
と、舞は、ジジイの顔の大きさくらいある、紙のハス花を、棺に入れた。
「安らかに眠られますように」
舞は、一滴、光を灯した。
僕も、ジジイの棺に、花を添える。
花を添えるたび、ジジイのことを思い出した。
おいしい野菜を、くれたこと。
うまい魚を、くれたこと。
結婚を、祝福してくれたこと。
僕を、本気で叱ってくれたこと。
真剣に、悩みを聞いてくれたこと。
何より、とても大切にしてくれていたこと。
「おーい、雅。元気にしているかあ」
と、聞こえた気がして振り返った。
遺影のジジイが、笑いかけていた。
目頭が、熱くなる。堪えきれない思いが、溢れかえる思いが、止まらなかった。ポロポロと、零れだした。鼻を
「じいちゃん、ありがとう」
そう絞り出すことで、精一杯だった。
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