第6話

「なんか悪いな。俺ばっかりのろけちゃって。彼女がいない久保に嫁の友達紹介しようか?今、嫁って言っちゃったよ」



「野口さん浮かれてますね。ふわっふわじゃないすか」



「そうかなあ。そうだよな。で?どうする?」



「せっかくですけど、俺そういうのいいです」



「うん知ってるよ。それに久保ならその気になれば彼女の一人や二人すぐだよなあ」



「そうなんですよ野口さん。先輩すごいモテるんです。みんな見た目でハート持っていかれるんでしょうね」




社内でも取引先でも、久保先輩は大人気だ。



今日行った会社だって、久保さんが現れただけで、女性社員からきゃあと悲鳴が上がった。




「佐々木さん俺聞いたよ。社内で狙ってる男多いらしいよ。どうなの実際」



「本当ですか?」



芽衣めいちゃんの羊狩りってふざけて言ってる奴らもいるから、そんなくだらない男なんかに引っかからないでね」



「うわ、でた羊狩り。自分の名前がこの時ばかりは嫌いになるんです。でもハントされるような出来事一切ないですよ?」



「そりゃあなあ」




そう言って野口さんが先輩を見て微笑む。先輩も合わせて笑顔を返す。




うーん、男同士、わたしにはわからない何かがあるのね。

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