第7話

一時間ほど滞在した野口さんが「嫁の飲み会終わったみたいだから俺も帰るわ」と帰ってしまった。



「お祝いなんでここは俺たちが」と久保先輩が申し出たのに拒み、多すぎる現金を置いて。




「嫁待ちの時間つぶしか俺ら」



「そうだったんですかねー」




はあ。なんか疲れたなあ。



なんか、ショックだなあ。



「これ、お釣りどうします?月曜返します?それともこれからもう一軒行きます?先輩付き合ってくださいやけ酒の気分です。先輩が飲んでるその日本酒ください」



「やめとけ。もうこれ以上飲むなよ。そこまで酒強くないんだから」



「大丈夫です。もし酔っぱらっても先輩がいるから」




はあ、と今度は先輩が大きなため息を吐いた。



お前なあ。とぼやいた先輩が、私の手からアルコールが残るグラスを奪った。




「これから大事な話するから。忘れられたら困るから飲むな」



「えーなんですか。これから仕事の話ですか?今日はもう無理です。そんな気分になれません」



「違うわ」




隣に座っている先輩が、椅子に座ったまま身体ごとこっちを向いた。

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