第2話

わたしたちは、オフィス家具やOA機器、事務用品の販売などを手掛ける会社の営業部に勤務している。



先輩は今年入社6年目なので、2年目の私の4歳年上だ。先輩は入社以来2年のサイクルで部署異動をし、営業部だけで言うと同期だ。



先輩には入社当時から指導をしてもらっていて、冗談を言い合えるような仲だと私は思っている。



わたしにお兄ちゃんがいたらこんな感じなのかな。




一方、メッセージの送り主の野口さんは、営業一筋8年の上司である。



うちの会社は課長以上にならないと役職名をつけて呼ばないという風習があるらしく、野口係長は、さん呼びだ。




実は先輩も係長。



部署異動の度に出世して、なんだかすごい人なのである。




「佐々木さあ、野口さんのこと本気じゃないよな?彼女いるしな」



「プライベートなことにはお答えできません」



「うざいうざい、そういうのいいから」



「そりゃ先輩のほうが俄然かっこいいですよ。イケメンだし背も高いしお洒落だし。でも野口さんの雰囲気が好きなんですよね。全体的に柔らかそうで、癒し系じゃないですか?」



「あっそ」



「それに彼女と長いらしいですし、本気じゃないですよ」




先輩はそれには無言で、社の契約駐車場に車を止めた。社用車はすべてが止まっていて、私たちが最後の帰社組だったらしい。



今日は今行ってきた取引先の希望商品の見積もりを作って終業。そのあと野口さんと食事だ。がんばろ。

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