守りたい
第9話
『後は任せたぞウェル』
誰かの声が聞こえて俺ははっと目ざめる。
シーンと静まった。
「ミャオン」
聞こえたのは猫の鳴き声だった。
猫がその場に座りこんでいた。
唯一の愛猫、ルル♀だ。
ルルを撫でると嬉しそうにすり寄せてゴロゴロと喉を鳴らした。
なんだ……?今の?
どこかで弟の声が聞こえた気がした。
そうだよな、きっと気のせい。
幻覚だったのだろう。
俺は気を取り直してもう一度寝ることにした。
あのときから俺たちは離れ離れになった。
幼い
だけど、波瑠を守るためと本来できなかったことも全部決断した。
今やらないといけないんだって。
そうだ、やるしかないんだ。
しまっ……。
咄嗟にあの時の光景を思い出し、 息が荒くなり咳き込んでしまう。
駄目だ、まだあの時の光景が怖くて症状が出てしまう。
俺のせいで何度も
そのせいで
葬式の時、
起きて気付いたときには既に俺は病院のベッドで寝ていた。医者や看護師の目を盗んで脱走したが…。
未だにあの時の光景を思い出してしまう。
葬式は絶対に波瑠だって辛かっただろうに……。
それは俺でも分かっていた。
きっと波瑠は我慢したんだ。
波瑠は昔から関わることを恐れ人を避けていた。
本当に彼女は我慢強い子だった。
そんな彼女をいつしか好きになっていたんだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます