過去

第10話

10年前


「ママ……パパ…?どこにいるの?ねえ?」


怖いよ助けて……

ねえウェル…エアル…?

どこにいるの?会いたいよ……。

いつでもそばに居るって言ってくれたでしょ?信じてるよ?

なのになんでいなくなっちゃうの?


そう言って歩いて探し続ける。


まだ6歳になる直前の5歳だった。


たったの5歳という幼い体でひたすら

血みどろになってボロボロの体で。


しばらく歩き続けて


え…?人が倒れている姿を見つけた。

その姿に見覚えがある。


けれど彼らは血まみれだ。

「パパ!ママ!」

それでも思わず嬉しくて急いで駆け寄る。

けれど、波瑠はるは固まった。

「え……嘘」

体が震える。

だってもう、両親には意識がない。

見つけたときには既に手遅れで亡くなっていたんだった。


必死に泣くのをこらえようと我慢する。

けれどそれは無理で涙がぽたぽたと頬をつたって溢れてく。

なんで……あの時約束したのに

うわぁぁんと1人で泣いた。

普段あまり泣かない│波瑠はるは亡くなった両親の、そばで久々に泣きじゃくった。

数時間前の両親とはもう会えないんだろうって思うまま。

やがて…波瑠はるは決心して立ち上がった。


まだ仲間がいる。


少しでも可能性を求め、

「エアル…ウェル……」

彼らも血まみれだ。

重症だ。けれど確認して意識はあった。

急いで周りの人に助けを求め、救急車を呼んで近くの総合病院運んだ。   


しばらく目覚めない2人をぼーっと様子を見ていた。

どちらも今日はもう帰っていいと言われた。

私はしぶしぶ病院へ出た。

それから亡くなった両親へと会いに行った。


私は毎日お兄ちゃん的存在の2人の様子と亡くなった両親の方へと行き来していた。 

こんな状況で幼稚園に行くのもいやで。

お母さんも、お父さんもいない。

お金はない。

私だって働ける年齢になるにはだいぶ先。


ねえ、お兄ちゃんたちこれから私どうしていけば良いんだろう。


両親と違って人と関わるのが苦手で表に出てもほとんど無口な私は親戚に嫌われ者になっていて追い出された。


私だってあの家は元から嫌い。

だからあんな人たちとのお世話になんて決してなる必要ない。

それから毎日通い続ける。

目覚められるまで彼女はずっと待っていた

けれど、2人は1週間…2週間経っても目覚めなかった。

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また会える日まで チルカワ桜那(ちるかわさくな) @chilkawasakuna

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