第4話 研究できたらすごいらしい

 「魔法の研究?」ソマリ子爵は驚いて言った。

「研究されている方はいらっしゃらないのですか?」

「……もっと楽に話してくれ。魔法は魔女にしか使えない。使える物しか分からないから、他人が研究とか聞いたことがない。まあ魔女同士で情報交換とかは有るみたいだが。なあローズ?」


「そうですね私は他に水と風の魔女を知っていますが、属性程度しか知りませんね。戦闘時詳しく知られると対策されたりがありますので、詳しくはお互いに話さないのが普通ですね」

「らしいがどうする?研究をしたいか?」

「生まれる前から魔法に興味が有りま……生まれてすぐから興味が有ります」

「生まれる前からでも驚かないなこの子は。研究か……成功したら貴族になれるぞ」


「貴族は……なりたく無いですね」

「儂の前でそういうか?悲しいな」

「いえ、責任のある立場になると研究も続けにくいかと」

「お前……いや君3歳だよな?23歳とか言われても違和感ないぞ。見た目と声以外」


「ぼくまほうのべんきょうしたいな!」

「「「もう遅いって……」」」


 子爵は今までの公開されている魔女の事を書いてある本を貸してくれた。

「これをローズにでも読んでもらいなさい」

「ありがとうございます。かなり昔からのが書かれてますね。本当に研究はしてないのですか?」

「研究というより報告書だ。君はもう文字が読めるのか?」

「あ、いえ、違いまして。紙の色やインクの褪せ方等から古いと……」

「その方が難しいと何故わからん?」

「!?」


「何故驚く?もしかして神様が君をこの国に送った言われても不思議ではないぞ」

「……いやそんな神様なんて姿も見えませんし」

「なぜそう言える?……すまんな子供相手に。しかしだ、もし君が魔法を使えるなら儂に言ってくれ守れる範囲で守ろう。先ほどは皆の前だから言えなかったが戦場でローズは我々からは女神に見えた。何回助けられたか。まあ敵からは悪魔に見えただろうがな」


「だ・れ・が・あ・く・ま・で・す・か」

「ロ、ローズこちらに来てたのか?」

「なかなかお戻りにならないので、うちの子が何かしてないかと」

「本を貸しただけだよ。美しく強い者は敵からは悪魔に見えると思ってな。我々からは女神だったと話したよ。な?」


「い、今でも女神の様に美しいと子爵は仰ってました」

「君の事は気に入っている。子爵と言わずソマリと呼んでくれ。仲良くしたい」

「分かりましたソマリ様。これからも末永くよろしくお願いいたします」

「なあ、俺の養子にならないか?」

「お母さまと離れたくないので……」

「ママって言ってといつも言ってるでしょ」


なんか思ってたより楽しい貴族だった

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