第3話 名無し

 兵士たちが数人家に来て

「魔法を使われましたか?」と聞かれ素直に

「新しい花火という鑑賞用の魔法を作りました」と母が答えた。

兵士たちは意味が分からなかったようだが上に報告しますと帰っていった。


 しかし平民なのに兵士からも敬語を使われる母って……

一つ言い忘れていましたが僕にはまだ名前が有りません。

成長するまでに亡くなる事も多いらしく5歳になるまで名前は付けないそうです。

だから5歳で誕生日を祝うのかな?知らないけど。


 翌日に呼び出しがあり、近くの貴族の屋敷まで全員で行くことになった。

何だろう?面倒でなければいいが。

ソマリ子爵とい方に会うらしい。挨拶とか間違えたら危ないのかな?

何か貴族っていいイメージがない。


 馬車まで用意してくれていて朝に出て昼頃には到着した。

到着すると使用人の方が中に呼びに行ってくれるとすぐに、年配のいい服を着た人が出てきて

「ソマリだ。久しいな、ローズとアイスバーグよ。そこの二人はお前たちの子供か?上の子はもう大きいな。結婚の時以来だが相変わらず美しいな。儂など老けて……いやすまん。なんか面白い魔法を考えたらしいな」

「お久しぶりですソマリ子爵。ローズです。本日は……」

「硬い挨拶など要らん。ここまで貴族との付き合いみたいでは気を抜けぬ」

「ではこちらが夫のアイスバーグと長男のアルバと次男です」

「アイスバーグです。ご無沙汰しております」

「ち、長あんの……長男のああアルバ……ア・ル・バ・です。なな7歳です。よよろろしくおねがします」

「ソマリ子爵、初めまして。次男です。現在3歳です。名前はまだ有りません。以後よろしくお願いいたします」(緊張して変な話し方になった……)


「……ん?3歳?」

「はい3さいです」

「3歳でここまで話せるか?いや、嘘だとは言わぬが」

「それが本当に3歳で、例の魔法もこの子が言った事なのです。あっ実行したのは私ですからこの子に罪はないですよ」

「一度見せてはくれぬか?」

「では少し向こうの上空に……花火よ発動せよ」


 大きな音とともに巨大な火で出来た花が上空に現れた。

「これは……これは綺麗なものだな。すまぬ後日家族がそろった時にも一度頼めぬか?」

「大丈夫です。いつでもご連絡ください」

「これは少ないが褒美だ」と母にお金?の入った袋を渡した。

「う、受け取る理由が……」という母に

「綺麗なものを2つ見せてもらった礼と大きな音がするから使用を規制したいからその侘びも含めてだ」

父が「二つですか」と言うので僕が思わず

「お母さまと花火でしょ?お父様が気付かないでどうするのですか」と言ってしまった。

母には「ママって呼んで」と言われた。気にするのはそこか?


 子爵は「賢い子だな気に入った。発案の礼は何がいいかな?」と言われたので

「魔法の研究がしたいです」と答えた。


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