第2話 目覚めるもの 現れるもの
一方その頃、自衛隊が戦車と共に現場に着いた。長官らしき人物と警部が話を始める。
「被害者は?」
「今のところいません。目撃者の証言によれば深夜に隕石のように落ちてきたとのことです。他に情報がありません」
「あれに人は乗っていたか?」
「一応船で近くまで行きましたが、応答も何もありませんでした。ロボット開発社のロゴも何処にも見当たりませんでした」
「……わかった。あとはこちらがロボットの内部調査を行う」
「わかりました。よろしくお願いします」
警部は敬礼をする。あとの調査は自衛隊が行うが、警察側は部外者が入ってこないように通行止めを続けるようだ
———
藤光宅、和室にて打ち上げられた子供を布団の中で寝かせていた。男の子だったので替えの服は祐吉のお下がりにした。
「どこから拾ってきたのぉ?この子」
「母さん、ペットみたいな言い方になってるって」
祐吉の母親は優しいが何処か抜けているところがある。それでも連れてきてから3時間、ずっと看病をしている。
「う、うぁ……?」
「あ、おはよう」
少年は目を覚ました。藤光の母親は朝の挨拶をした。おはようでいいのかと祐吉はツッコミたくなる。
「あぇ…ぅ…おは、よう?」
「はい、よく出来ました」
母親は少年を撫でる。
「それより大丈夫なのか?怪我は?何処から来た?」
祐吉は食い気味に少年に問いかける。
「ぃじょ…けが?どこ…ど、こ…?」
「もしかして記憶喪失か…?」
「あらあら、大変な事になっちゃったわねぇ」
少年は周りをキョロキョロしながら和室の中を歩き出す。
「だったら名前は覚えていないのか?」
祐吉が言うと少年はピタッと止まる。
「なまぇ……ねーむ……うぉる…」
「ウォル?外国の人か?それにしても」
「日本語が上手いのねぇ!逆に英語が苦手な祐吉とは大違いねぇ」
「ちょ、母さん…」
名前がウォルと判明した瞬間、ウォルが何か思い出したかのような顔になる。
「ウォル…◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎!ウォレイルズ…!!」
一瞬何か聞き取れない言葉を言い出したあと、ウォルは裸足で外へ走り出す。
「ウォルちゃん!大変、祐吉捕まえてきてくれるかしら?」
「だからペットじゃ、いや、わかってる!追いかけてくる!」
祐吉はウォルを追って外に出る。向かってる場所は方向を考えるに海辺の方だった。
一方自衛隊は謎のロボットを捜索を開始しようとしていた。その時、近くにいた人間たちが歪みの世界に迷い込んだような感覚に陥る。隊員たちは目眩やパニックを起こしてしまう。
「なんだこれ…うぐぁ……」
謎の感覚の範囲は長官にいる位置まで広がった…すると上を向いた隊員が叫び出す。
「う、うわぁぁぁ!う、えに…うえにぃぃぃぃ!!」
その声を見て上を見上げた。そこには大きなクラゲのような形をした巨大な機械が宙に浮いていた。
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