第2話 初めての出会い

そこから、どれだけ歩き続けてもずっと、木、木、木。木ばかりだった。

 

あたりが暗くなり、もう休もうかと話していたところで、ガサガサ...と茂みの動く音がした。


...熊か?

 

よく見ると暗闇の中、黄色い目をしたオオカミらしき姿が見えた。


姿が見えたのと同時だった。


「おぬしらここでなにをしておるのだ?」


と、オオカミの方からとてつもない美声が聞こえた。


オオカミが喋ってんのか?とか考えてたらオオカミが言った。


「おいっ!そこの男。我をオオカミなんてな生物というとはいい度胸だ。我のように優しくなかったら即、不敬罪でつかまっているぞ。」


「おぬしは我を知らぬのか?

 我は神獣の中でも高い位のフェリフル様であるぞ。

 オオカミなどと同じにするでないっ!」


「人型にもなれるし、人語も喋れる。オオカミとは天と地の差であろう。」


「おっおう...。(メッチャ喋るじゃねえか。)自己紹介ありがとな神獣さんっ!

 俺は一葉で、こっちが花だ。よろしくな。」


「信じられねぇかもしれねぇが、俺の他に人格がいるんだ。

 そっちも紹介したいけど、いまは何故か誰もいねぇ。また今度紹介するな!」


「うむ。おぬしには他に人格がいたわけか...。(道理で...。)」


「ちなみにだが、おぬしらは能力スキルというものを知っているか?」


「いや、知らない。気がついたらここにいたから...。」


「おぬしらはもしかすると違うの人間かもしれんな。」


「えっ?」


「とりあえず、この世界のことについて教えてやろう。」


「まず、この世界には人間や獣人、怪物モンスターがいる。

 人間や獣人はとても弱く、怪物モンスターに好きなようにされていた。

 それを、可哀想に思った女神様が人間や獣人に能力スキルを与えて下さった。

 ささやかなものだったが、人間や獣人は栄えていった。

 そして稀に凄い能力スキルを授かるものもいる。」


「そんなにすげぇものなのか?」


「あぁ。そして我が見るに、おぬしらも何故か能力スキルを授かっておる。」


「えぇっ!」


「そっちの女、花といったか?」


「はっはいっ!」


「おぬしは創造神クリエイターという能力スキルを授かっている。

 想像し、欲しいと思ったものを具現化でき、手に入れることができる優れものだ。

 しかもこれは、とってもランクの高い能力スキルだぞ。」


「えっ!やった!一葉、今の聞いた?らんく?の高い能力スキルだって!」


「ごほんっ!次に一葉。

 おぬしは現状、能力スキルがない...。」


「おいっ!どういうことだよ!」


「ちょっと待て、最後まで話を聞け!

 正確に言うと能力スキルはある。だが、今はまったく使えない。

 おぬしがさっき行っておった人格を集めれば、チート級の技が使えるだろう。」


「まじかよっ!」


「うむ。その右腕に、はまっているブレスレットに気づいとるかは知らんが、

 人格を集めるにつれ、ブレスレットの色が戻っていくであろう。

 そして、そのブレスレットが色を取り戻すにつれ、

 技の幅がどんどん広がり、強くなれるであろう...。」


「ブレスレット...ってなんか付いてるんだが!!」


「そう言っているであろう...。」


「全然取れねぇ...。」


「...話を聞けっ!」


「はっはい。すみませんでした...。」


「まあいい...さすがに慣れんところに放り出されて可哀想だ。

 明日にでも町に連れて行ってやろう。」


「ありがとうございますっ!」


 次回、第三話 初めての町

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