第4話 魔王軍最強パーティー
いやもう、なにがなんだか……なんでこんなド田舎の村に、魔王軍の大物が勢ぞろいしてるんだよ?
それもよりによって、魔王軍最強の魔王パーティーが現れるなんて……。
なにがどうなってるんだ? 誰か説明してくれよ。
「貴様が、勇者パーティー最後の一人か? 捜したぞ」
「!?」
漆黒の全身鎧とマントをまとった、闇の化身のような、大柄な人物。
あいつが、魔王か。全身からすさまじい邪悪な気配を発していやがるな。
四天王だという連中は、皆、異形の者どもで、それぞれが途轍もない魔力を有しているのが分かる。
そいつらをもはるかにしのぐ魔力を、魔王からは感じる。あれでもたぶん抑えているんだろうが、抑えきれていないみたいだ。
にしても、コイツら、この俺を捜していたのか。
それでこんなド田舎に降臨したわけか。マズイな、村の様子なんか見に来るんじゃなかったぜ……。
「我らとの決戦前に、パーティーから抜けたらしいな。とんだ腰抜けよ」
「ぐっ……!」
「だが、勇者サイラスは、貴様について、こう言っていた」
「えっ?」
「貴様こそが、勇者パーティー最後の切り札だと。貴様が生きている限り、魔王軍の完全勝利はありえないとな!」
「ええっ!?」
サイラスのヤツ、そんな事を言ってやがったのか? よりによって魔王に向かって。
俺の事を密かに高評価していた……って、わけじゃないな。
たぶん、負け惜しみだろう。そう言う事で相手を気持ちよく勝たせないようにしたに違いない。サイラスはそういうヤツだ。
「ようやく見付けたぞ、ショウとやら! 貴様を倒し、我らの勝利を完全なものにしてくれようぞ!」
うわー、めっちゃやる気になってる……夢なら早く覚めてほしいな……。
魔王を除く、四天王のどれか一体のみが相手なら、今の俺の実力ならたぶん勝てると思う。
だが、二体以上となるとまず無理だ。ぶち殺されてしまうだろう。
うう、スローライフを満喫する予定が……なんでラスボスパーティーとたった一人で戦うはめになるんだ……。
世界中が魔王軍に支配されている現在の状況では、援軍なんか望めそうにないし……。
ここは、俺一人の力で、どうにかして切り抜けるしかない。
こうなったら、駄目で元々、あの手で行くか。
「ふん、さすがは冷酷非情な魔王軍だな。いくら俺の力が恐ろしいからって、俺一人を相手に最強パーティー五人で挑んでくるとは……」
「……なんだと?」
「いや、いいんだ。どんなに卑怯な手を使っても、要は勝てばいいんだろうからな。一対一で戦って負けるよりも、五対一で勝った方が楽だよな」
「ほう。一対一なら我らの誰と戦っても勝てると……そう言いたいのか?」
「さあ、どうかな。さすがに魔王が相手じゃキツいが、それ以外ならどうにかなるかもな……!」
俺が挑発めいた口調で告げると、魔族達はざわめいていた。
四天王連中はすげえ怒っているみたいだったが、魔王はどこか愉快そうにしていた。
「ふふふ、面白い。確かに貴様一人を相手に五人がかりというのは卑怯かもしれん。ならば、一人ずつ勝負してやろうではないか!」
魔王の提案を聞き、俺は内心密かにほくそ笑んだ。
上手い事、乗ってくれた。これでどうにか首の皮一枚で繋がったな。
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