第3話 襲撃
都会から遠く離れた山奥にあるド田舎の村は、魔族の襲撃を受け、炎に包まれていた。
翼を生やした、ガーゴイルらしき魔族が十数匹、村に降り立って、火炎魔法で火を放ち、家屋を焼いていた。
オークやゴブリンもいて、建物を壊したり、人を追いかけ回したりしている。
連中にとっては、侵略というよりも遊びなんだろう。人間達を苦しめるのが楽しくてたまらないようだ。
村に向けて火の玉が降ってきたのを見て、嫌な予感がして来てみれば……。
やはり魔族の襲撃だったか。こんなド田舎の村を焼き払うなんて、血も涙もないな。
ギルドにいた冒険者達が戦っているが、まるで歯が立たないでいる。
無理もないか。ここのギルドにいるのは都会から逃げてきた連中だからな。レベルは低いし、負傷している者ばかりだ。
魔物とまともに戦える人間なんざ、ほとんどいやしない。
「とりあえず、一〇人ぐらい殺しとくか? ど・れ・にしようかなー?」
ガーゴイルどもが、横一列に並ばせた村人達を見やり、遊び半分で殺そうとしている。
さすがにこんなのを見すごせるほど、俺は冷徹な人間じゃない。
もう二度と、魔族や魔王軍には関わりたくなかったが……これは仕方ないよな。
「おい。やめろ」
「?」
俺が声を掛けると、ガーゴイルどもは不思議そうに首をかしげていた。
「なんだあ、お前は? 魔王軍に逆らう気か、人間風情がよぉ……」
「俺を見てもそんな台詞しか吐けないって事は、お前らはただの雑魚だな?」
「!?」
それなりに力を持った魔族なら、分かるはずだ。
この俺が、そこらの冒険者とはまるで違う力を有している事に。
なにしろ勇者パーティー四人分の能力を持っているからな。ぶっちゃけ、今の俺は人類最強だろう。
少々数は多くとも、この程度の雑魚魔族どもなんか瞬殺して……。
俺が魔族どもを片付けてやろうとした、その時。上空から黒い稲妻が落ちてきて、轟音が鳴り響いた。
そして、稲妻が落ちた場所には、妙なヤツが立っていた。
あれはまさか……新手の魔族か?
そこでさらに、新たな黒い稲妻が降ってきた。
ドゴーン、ドゴーンと爆音を轟かせ、不気味な黒い稲妻が連続で落ちてきて、魔族達がどよめく。
稲妻一つに付き一体、見るからにヤバそうなシルエットが浮かび上がり、冷や汗をかく。
最後に、特大の稲妻が落ちてきて、全部で五体の、魔族と思われる者達がズラリと並ぶ。
……ん? 五体? なんだかすっげえ嫌な予感が……。
「我らは、魔王軍四天王! そして、こちらにおられるのが、我ら魔族の王……!」
「魔王軍総司令にして、魔王軍最強パーティーのリーダーでもある。我こそは、魔王なり……!」
魔王軍最強と呼ばれている四天王と、それらを束ねる、魔族最強の存在、魔王。
いきなり出現したラスボスクラスのパーティーを前にして、俺は気を失いそうになったのだった……。
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